不登校、はや一年となったら?
不登校が一年も続くような場合には、もう一度、原点に返って子どもさんの不登校を見直してみる必要があります。
=月日だけが流れていく=
最近は、昔のように朝から晩まで「学校へ行け!」と怒鳴りまくっているようなご家庭は少なくなりましたが、不登校の原因に触れられないまま月日だけが過ぎ去ってしまうということが少なくないように感じます。
=大切な問いかけをしないまま不登校に!=
子どもも不登校を親がすぐに受け入れてくれたので安心してしまい、自分の心に「なぜ学校に行けないのだろう?」「なぜ学校に行くのが嫌なのだろう?」「なぜ学校に行こうとすると苦しくなるのだろう?」等々の問いかけをすることがないまま、学校に行かない事が当たり前になってしまうという事が増えています。
この不登校の出だしのところに、「不登校を克服する大切なヒントがあるのに!!!」です。
=必要な「問いかけ」=
だから本来は、「学校には行かなくていいからゆっくりと休みなさい。安心して大丈夫。だけど、なぜ学校に行けないのか、その理由をちゃんと見つめて、教えてね」という問いかけは必要なのです。
=相変わらず原因不明?=
ここで理由が分かると、一年以上も不登校状態が続いてしまうという事はむしろ少ないのです。でも、本人が分からず答えられない場合を筆頭に、原因が不明の場合も少なくありません。それでも、一年経って当初は言えなかったけれど、何か手掛かりになる事が分かるかもしれません。
=病気かも知れない!!=
今回はこうした原因不明の不登校の中から、「病気による不登校」(不登校マップでA群)に絞って書きます。この群の不登校は、自分が病気だとは思っていないので、それらしい説明が出来ません。ですから、子どもの様子から親が「病気ではないか???」と思わないと、病気がどんどん進行してしまうという事態が起こります。そして、一度、あるところまで進行してしまうと長い治療と療養が必要になります。
=統合失調症ではないだろうか?=
百人に一人くらいは発症するのが「統合失調症」です。芥川龍之介が晩年かかったのが「妄想型」、ある動作の途中で不自然に体が止まってしまったりするのが「緊張型」、そして、不登校で一番多いのが「破瓜型」と言われる統合失調症です。破瓜型というのは奇妙なネーミングですが、意味は「思春期型」というくらいのものです。一学年3クラスで100名ちょっとの中学校や高校では、ひとりくらい発症しておかしくない病気です。決して珍しい病気ではありません。
=統合失調症の症状=
①人から離れたがる、あるいは独りになりたがる(離人症)
②言葉数が減る、必要な事しか言わない(必要な事さえ言わない)
③友達や先生はもちろん親兄弟まで信用出来ない様子、疑っている様子
④何か訳のわからない怖さにおびえて居るように見える
⑤集中して何かをやることが出来ない、何かとりとめがない様子
⑥じっと同じ姿勢で何もしない時がある、固まっているように見える
⑦眠れない様子、あるいは眠れないのに不眠を訴えることは少ない
⑧人形など命ないものに話しかける(小学生ばかりではなく中高生や大学生でも)
⑨意味不明のことを言う、あるいは独り言が増える
=子どものうつ病ではないだろうか?=
子どものうつ病が増えています。小学校二年生くらいでもあり得ると言う話しを精神科の医師から聞くことがあります。あるいは、下記の症状が秋から冬の季節の変わり目になる度に出てくるという場合もあります(季節性うつ病)。また、急に感情的になり、ものを壊してしまうなど突発的な衝動を押さえられないという場合もあります。私の印象ですと、うつ病は知的に優れた子どもに多いように思います。WISC等の知能検査では軽く120とか130とかのスコアーを取る子が少なくありません。うつ病は「心の風邪」と言う人も居ますが、そんな生やさしいものではありません。特に、最近は子どもの自殺が多いですが、どのような因果関係があろうと、例外なく、本人が「子どものうつ病」になったことが自殺の直接の原因なのです。
=子どものうつ病の症状=
①イライラしている事が多い
②腹痛や頭痛を訴えることが多い(特に小学生)
③男の子では親に暴力を振るう事が少なくない
④女の子では訳もなく泣き叫ぶことが多い
⑤友達と遊ぶことが減ってしまった、あるいは独りになりたがる
⑥笑うことがなくなった
⑦気力が続かない、あるいはやり遂げることが出来なくなる
⑧辛さを訴える、ふとしたことで涙ぐむ
⑨身の回りのもの、とても大切にしていたものでも、発作的に壊してしまうことがある
⑩「死にたい」と言うことがある
=躊躇なく精神科を受診すべき=
是非こんなことに注意をしながら子どもの様子を観察する目を持ちたいものですね。そして、どうも症状が重なるなと思ったら躊躇なく精神科(心療内科ではなく)を受診すべきです。今回は、特に「病気による不登校」を取り上げました。
以上
◇NPO輝け元気!の無料相談
◇所在地:横浜市青葉区美しが丘西
◇最寄り駅:東急田園都市線(横浜市営地下鉄)あざみ野駅または小田急線新百合ヶ丘駅
◇遠方の方には、オンライン相談(電話相談)もあります。
◇お申し込み:daimon@kagayake.org
- カテゴリー: うつ病 |
- 投稿日: 2020年03月16日 |