劣等感と対人恐怖に苦しんだY君のインタビューから(前半)
Q1.いつから不登校になりましたか?期間は?
=高1の10月でダウン=
高校に入学してすぐの夏休み明け、9月まで頑張ったのですが、10月のはじめからどうしても行けなくなりました。いったん不登校になると、輝け元気!に通うようになるまで、翌年2月はじめまでの4ヶ月間ですが、ほぼ完全に引きこもってしまいました。
大門さんのカウンセリングは、予備校に通い始めて、もう大丈夫となった翌年の6月まで、1年4ヶ月受けました。
=高校卒業をあきらめて退学=
どうしても怖くて外出できないときがあって何度かカウンセリングを休みましたが、本当に少しずつ確実に良くなっていきました。今年の3月からは予備校に通えるようになりました。高校は、1年を留年する形で休学していましたが、不登校が続いたので2年に進級する可能性がゼロになった去年の時点、二度目の高1の6月ですが、退学しました。
=高認で大学受験へ=
その秋に高認(旧大検)を受験することが出来て全科目で合格しましたから、来年の大学受験で合格できれば、みんなと同じ歳に大学に進むことが出来ます。一時は大学どころか高校中退になるかと思っていたので、やっぱりとても嬉しいです。
Q2.不登校になった原因は?
=親しい友達が全くできなかった=
高校で不登校になりましたけど、僕の場合は、今思えば、いじめがあったわけではありません。ただ親しい友達がまったく出来ませんでした。だんだんと息苦しくなり、クラスメイトが怖くなりました。
=夏休み前にすでに被害妄想に!=
考えてみると、実力以上の高校に合格してしまったのがつまずきの原因になったと思います。同級生全員が自分より遙かに頭がいいように感じました。今思えば何気ない会話で否定されたり馬鹿にされたりしたように感じて、被害妄想になりました。そう思うと余計に自分から話しかけると言うことが出来なくなり、やがて、クラスメイトの全員が自分のことを嫌っているとしか考えられなくなりました。高1の夏休み前には、もう人の目が気になって気になって学校にいる間中とても辛くなりました。馬鹿にされないように虚勢を張っている自分に気がつきませんでした。
=人の視線から逃げたい!=
思えば、あの頃は自分というものを完全に見失っていました。本当の自分の気持ちに気がつくことが出来ませんでした。最後には「もう学校から解放してくれ!」、「人の視線から逃げたい!」という気持ちしかありませんでした。
=対人恐怖は高校で始まったのではなかった=
大門さんのカウンセリングを受けて分かったのは、僕の対人恐怖が高校時代に始まったのではないということです。
=不登校になる強さがなかった!=
小学校の高学年からいじめに遭っていました。静かであまりしゃべらない子どもでしたし、野球やとくにサッカーが苦手で、仲間に入れてもらえないのに、グラウンドから離れられないような子どもでした。劣等感があるのにそれが表に出ないので、弱虫と思われたのだと思います。気がつかないうちに、ほとんどクラスの全員から言葉の暴力を受けるようになりました。言葉の暴力が、やがて、ぶたれたり蹴られたり突き倒されたりという暴力に変わっていきました。それでも不登校にはなりませんでした。芯が強くてというのではなく、不登校になる強さがなかったのです。
=ケンカ両成敗??なぜ?=
それでもあまりにも悔しいことがあったので担任の先生に訴えましたが、「ケンカ両成敗だ」と言われて暴力を止めてはくれなかったのです。これはかなりのショックでした。この時から余計に人と話さなくなりましたし、悪循環で余計に人が怖くなったので、人間関係を客観的に見ることが出来なくなったように思います。
=存在しなくなった正義=
どういうことかというと、友達や先生の目線というのがなくなって、自分の目線でしかものごとを見られなくなったと思います。客観的な正義というのが自分には無くなってしまいました。
=中学では受け狙いのピエロ役を!=
中学に入って、無視されないために、そしていじめられないために、自分のキャラクターを一変させました。というよりクラスメイトが怖いので、逆に半分やけになって、ウケ狙いのピエロ役をやったのです。そうしたら予想以上にウケて、たびたびリクエストが入るほどになりました。みんなが笑い転げるので引っ込みがつかなくなって、中3までそのキャラクターを演じました。
=心は泣いていた!=
友達が増えてちょっとした人気者でしたが、ピエロ役をやっているとき、こころは泣いていました。小学校時代からの同級生は必死で避けていましたし、今思えば、本当に屈折した心理だったと思います。
=本音は出さないもの、出せば人から嫌われる=
でも、このおかげで部活では親しい友人が出来ました。この友人達とは、今でも付き合いが続いています。もっとも、引きこもり状態の時にはこの仲間とも会うことが出来ませんでした。だから、親しいとは言っても、心には「本音は出さないもの、出せば人から嫌われる」という意識が染みこんでいて、一種の演技が出来ないのに、会うなんて考えられなかったのです。
=もうピエロ役は出来なかった!=
こうして、高校に進んだのですが、中学時代の友達は一人もいない高校で、まさかピエロ役をまたやることも出来ませんでした。かと言って、本当の自分を素直に正直に出していくなどと言うことも出来ないので、否定されないように馬鹿にされないようにガチガチの自分を支えるしか方法がなかったのです。
=対人恐怖になったのは必然だった!=
当たり前の対人関係を作っていく力が自分にはなかったのです。だから、僕が対人恐怖症になるのは必然でした。小中とそのための準備をしてきたように感じます。
前半はここで終了します。来週をお楽しみに!
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