機能不全家庭を生き延びたAC 第6回(最終回)「スケープゴート」

子どもが自らに決して幸福をもたらすことがない家庭(機能不全家庭)をどのように生き抜くのか、今回が第六回、最終回になりました。今回は、ある意味で最も激しい問題行動をとる「スケープゴート」を解説します。

「スケープゴート(生贄のヒツジ)」

=自分が犠牲になろうとする!=

スケープ・ゴート(Scapegoat)ですが、「身代わり」とか「犠牲者」と呼ばれることもあります。要するに、家族内の緊張や衝突や暴力を自分が無意識に引き受けることで、未然に防ごうとするのです。具体的には、自分が問題行動を起こすことで、緊張や衝突や暴力が現実のものとなる前に、自分が犠牲になろうとするのです。このため、家でも学校でもどこへ行ってもトラブルを起こします。攻撃的に振る舞い自分の存在を主張することで、家族の中の本来の問題から家族の目をそらす役割を無意識に果たそうとしているのです。

=自分が人を傷つけていることも実は知っている!!=

しかし、自分の行動が人を傷つけている事を知っていますので、そのことで自らも激しく傷ついています。そういう風にせざるを得ない自分を責めてもいるのです。問題を起こそうとする衝動の底には、巨大な怒りが煮えたぎっています。その怒りはしばしば自らに向かいますので、自傷行為として現れます。また、孤独に耐えられず、早くからアルコールや薬物に依存する傾向があります。また少女の場合には、年少妊娠などの非行に走りやすいと言えます。

=非行少年、非行少女に多い!?=

無意識に、親からの「見捨てられた感」に苦しむよりは、問題を起こしてでも親の注目と愛情が欲しいと感じているのです。自分が問題児であり続けないと、親の愛は自分に注がれることはないのだと信じているかのようです。ネグレクト(無視)されるよりは、親に殴られたいのです。こういう心の傾きは学校でも繰り返されますので、イジメのターゲットになりやすい面があります。それでも、無視されるよりはイジメられる方がましだと感じているのです。コンビニの駐車場でタバコを吸っているような少年少女の中には、必ずと言っていいほどこの「スケープゴート」がいます。

=「自分らしさにこだわり抜く個性派」に多い!=

この性格タイプは、自分を他の人たちとは全く異なる人間と見なすことによって、アイデンティティ(自分が誰なのかという存在証明)を維持しようとします。自分は他の人たちとあまりにも違うため、誰も自分を理解してくれず、誰もありのままの自分を愛してはくれないと感じています。自分が個性的で特別な才能を持っていると感じますが、他方では、自分特有の弱点や欠陥があるために、自分はどうしてもこの社会とうまく折り合っていけないと感じるのです。

=自分を反抗的なアウトサイダーと見なす=

このタイプは概して自分に正直で、弱点や欠点を含め、自分自身をありのままに見ることを恐れません。なぜなら、自分自身を深く探求したいという思いに関しては、どの性格タイプよりも熱心で誠実なのです。自分自身の内面に向かうその視線は厳しく、妥協の余地がありません。一方、その視線は自分を取り巻く世界、多くの場合、学校であるとか大人社会であるとか、そういうものにも向かいますから、人々が黙って従っている慣習に対して反抗的ですし、世の権威や権力に対しても挑戦的です。このため、往々にして極めて非社交的であり、自分のことを反抗的なアウトサイダーと見なします。

=人の善意や愛情を受け入れるのが苦手=

しかし、支離滅裂な行動に関わらず、内心では周囲をよく理解していて、罪の意識にいつも苛まれています。不良グループの中では思慮深く、仲間の気持ちをとても良く理解しています。家庭でのみならず、仲間が攻撃されるような場面では、悪役を買って出て戦い、仲間を守ろうとします。プライドが高く傲慢にも見えますが、性格的には優しい子です。本当は、家族のことを思い友人のことを思って、ひとり胸を痛めているのに、それを素直に表現できないのです。このため、自信がなく、自己評価が極端に低く、それでいて誰に対しても反抗的で、人の善意や愛情を受け入れることが苦手です。それを最も欲しがっているというのに!!!スケープゴートは、この意味であえて「問題児」を演じて生き残ろうとしているのです。

=激しい自己否定と押し寄せる鬱=

このタイプは、不穏で理不尽で暴力的な機能不全家庭において、あらゆるトラブルを起こしつつ、その責任を引き受けようとします。無意識ながら、その自分の犠牲的な行いを正当化するために、やがて、「空想の自己」になろうと必死になります。しかし現実には欠陥だらけの自分を偽ることが出来ないので、自分自身を酷く嫌い、現実の自分自身を憎みます。精神の危機を迎えるのです。無意識ですが、自傷や自己破壊的な行いを通じて、他者からの助けを引き出そうとするのですが、周囲がスケープゴートを理解することは本当にまれです。激しい自己否定と押し寄せる鬱の中で、人生を終わりにしようとすることも少なくありません。

さて、これで六つの役回りを解説しました。あなたにとってどの「役回り」がいちばん心に響いたでしょうか?もし読んでいて涙が出てくるような「役回り」があったとしたら、あなたは幼少期、その役回りを演じることで、「機能不全家庭」を生き延びたのかもしれません。

ご自分の生い立ちやお子さんの気持ちを理解する一助にして頂ければ幸甚です。

以上

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