まず滅多なことでは不登校にならない「性格タイプ」。しかし、その子どもは不登校に!?(後半)

=不登校の原因は?=

このタイプのお母さんの子どもが不登校になったからと言って、原因が決まっているわけではありません。不登校の原因はいつも多元的です。ですから、何をおいても不登校マップで検討してみる必要があります。A群からF群まであり、これらのすべての群に、原因の可能性があります。やはり、しっかりとチェックしなければなりません。

=親の「過干渉」の可能性=

しかし、もしC群の心理的な不登校が原因だとしたら、まず「自己主張する仕切りたがり屋」の親は、自分の「過干渉」を疑ってみるべきでしょう。ここで注意が必要です。「過保護」は良く聞く言葉で、実際、不登校の原因が「親の過保護や過干渉」という事は少なくないのですが、「過保護」と「過干渉」は明白に違います。一緒にして考えると間違いの元です。

=「過保護」とは?=

「過保護」と言うのは、不必要で過多な保護や甘やかしを親が子どもに対して行う事で、子ども自身の自主性を尊重し過ぎ、まともな社会人として巣立つのに必要な躾けをせずに済ませてしまうので、子どもは「自己中心的で苦労知らず」と言われたり、逆に「親抜きでは自分の意見を言えない幼児性が残る」と批判されたりします。これは親が出しゃばって子どもの責任を肩代わりしてしまったり、親が先回りして子どもの必要を過剰に満たそうとしたりするところから来ています。

=「過干渉」とは?=

これに対して「過干渉」と言うのは、「親が子どもを一人の主体的な人間として扱うことなく、その子供の自我の発達や自主性、意思や思考などを無視して、操り人形のごとく親の意のままに支配しようとすること」であると言えます。もちろん、親にそんなつもりはないのですが!ここが怖いところなのです。

=親に支配されて子どもの自我が十分に養われない!=

しかし、親が子どもを支配する構図が長く続き、子どもは批判されたり、押さえつけられたりし続けるため、自我が充分に養われないという事になりがちです。こういう子どもは中学生になっても睡眠時間が長く、疲れやすく、気力にかけ、自己主張がなかなかできません。そして、自分がなぜ不登校なのか考えることをしないのです。

=極端に低い自己肯定感=

自我が弱いと独力で行動しようとすることが出来ませんから、それがために子どもの自己肯定感は極端に低くなります。日常生活の中で他の子たちが当然に持っている遊びや趣味を楽しむことにさえ無意識に罪悪感を覚えるので、そういうものに興味を持つことすら諦めてしまう事が少なくありません。これは小学生ばかりでなく、中学生になってもありますし、高校生でもあり得ることです。

=過干渉の親の子は説明できない=

その諦めの前提に愛情飢餓感があるのですが、「自分は本来の形で愛されていない」「自分は正常な愛をもらえていない」と認識できるまでの自意識は、思春期に達するまで育たないのです。こうして、子どもは「命の泉」をだんだんと涸らしてしまい、元気を失い、不登校を引き起こすという事になります。とうぜん、自分がなぜ学校に行けないのか、それを説明する事は出来ません。

=不登校は様々な外見を持つ=

不登校の原因が親の過干渉にあるとしても、なかなかそれが見えて来ません。たとえば、こう言う自我の弱い子はいじめの標的になりやすいですから、いじめの兆候が少しでもあれば、親は「いじめが原因だ」と断じやすいです。また、こういう子どもは体調を崩しやすく、事実、自律神経系の不調を起こして「起立性調節障害」や「過敏性腸症候群」などを発症しやすくなります。そうすると親は、「半分病気の不登校」(B群)と解釈して様々な食事療法や民間療法に頼り、けっして自らの過干渉を顧みることがありません。

=子どもの性格タイプとの相性は?=

輝け元気!では「不登校になりやすい子どもの性格タイプ」として、遊離型の三つの性格タイプを挙げています。

「人がうっとうしい思考回路型」

「心の世界で遊ぶ平和主義者」

「自分らしさにこだわる個性の人」

この三つの性格タイプは、親のタイプに関わらず、もともと不登校になりやすいと言えます。

=強すぎるので、どのタイプとも相性が悪い!=

「自己主張する仕切りたがり屋」のお母さんは、正直のところ、上の3タイプに限らず、どのタイプとも相性が良いとは言えません。お母さんが強すぎて子どもはとても太刀打ちできないのです。ですから、皮肉なことに、お母さんがこの性格タイプの場合、不登校の子は遊離型の3タイプに限られず、協調型や自己主張型の子も不登校になりやすいと言えます。つまり、バラエティに富んでいるのです。

=性格に善し悪しや優劣は無い!=

このように「自己主張する仕切りたがり屋」の親は子どもに対して確かに過干渉になりやすいですが、このタイプのすべての親が「過干渉」になる訳ではありません。この性格タイプが子どもの養育に不向きだという訳でもありません。問題は人間として、親として、どれだけ成長し、人格を磨いたかという事なのです。この意味で性格に善し悪しはもちろん、優劣もありません。

=自覚できない恐怖心=

このタイプは「人からコントロールされ支配されるかもしれない」という怖れを常に抱いていますので、支配される前に「この場をコントロールしないといけない」と無意識に思い込んでいるのです。この恐怖心はこのタイプの人の心の奥底に深く沁み込んでいますので、自分では全く気が付かない程です。逆に、この恐怖心を自覚しないからこそ、常に強く主張しなければいけないと感じているのです。

=あり得ない事だが親本人に自覚はない=

子どもに対して命令的で支配的です。これが無意識に起こるので、自分が子どもに対していかに命令的か、いかに支配的かに気が付きません。側(ハタ)から見ると親本人に自覚がないなんてあり得ないと思うのですが、ここは本当に自覚がないのです。

=大切な気付き=

しかし、この性格タイプは、成長すると、「自分が常に場を仕切らなければいけない訳ではない」と悟ることが出来ます。自分が支配していなくても、攻撃されるわけではないことに気が付くのです。まさしく、この事に気づくために我が子の不登校はやって来たと言えるほどです。逆説的ですが、そのことによって本能的に抱えている周囲への警戒心を解くことが出来るようになります。

=人を癒す本来の力が溢れだす=

こうなると、子どもの弱さを受け入れ、併せて、自分の弱さを認めることも出来るようになりますから、このタイプが本来持っている「癒しの力」が溢れだします。こうして、この性格タイプは「人に傷つけられ人に支配されるのではないか」と言う恐れを克服するのです。

このタイプは成長してここに至ると、自らを開き、温かく、勇気を持ち、人を赦(ユル)し、英雄的です。

以上

 

 

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