「真に自分自身を生きる感覚」から目を背ける傾向が強い「心の中で遊ぶ平和主義者」の続き、後半です。
=眠っている力=
カウンセリングでは、本来このタイプが持っている「力の感覚」を思い出してもらう様に努めます。「力の感覚」って何?こういう性格タイプに「力」なんてあるの?と疑問に思われるかもしれません。しかし実際、このタイプは、本来、他の性格タイプが持っているあらゆる「力」を持っています。前回扱った「人がうっとうしい思考回路型」が持っている「知性(考える力)」、「自分らしさにこだわる個性派」が持っている「創造性(美的センス)」、冒険を楽しむ「好奇心」、人に対して尽くす「誠実さ」、高い「理想」、人を受け入れる「寛容」、そして何より人に平和をもたらし、あらゆる困難を楽々と運ぶ大河のような「力」です。
=インド建国の父ガンジー=
いろいろ伝記を読んでみますと、例えば、南アフリカで黒人初の大統領となったネルソン マンデラ氏や、インドをイギリスの植民地支配から救った不服従運動のガンジーがこのタイプではなかっただろうかと思います。
=本来の自分自身に目覚める!=
要するに、このタイプが本来持っている「自分らしさ(アイデンティティ)」をしっかりとつかみ直し、自らが持てるものを総動員すれば、現実にしっかりと取り組み、その取り組みを最後まで貫くことが出来るのです。そしてその時の感覚こそが「真に自分自身を生きる感覚」なのだと悟ってもらうように努めます。これは、自分自身にもう一度目覚めるということと同じです。
=世界とつながる!=
自己実現の結果、このタイプは落ち着きを取り戻し、穏やかでいながらダイナミックな存在感をもって、しっかり世界とつながることが出来るようになります。
=誰しも命の泉は涸れ果てる時がある=
注意しなければならないのは、不登校になるのは「遊離型」の三つのタイプだけという訳ではないことです。もちろん他の性格タイプも不登校になります。言い換えれば、人間だれしも「命の泉」が枯れ果ててしまう時があるということになります。
=これさえやれば大丈夫という方法はない!=
そして、性格タイプによって「どのように呼び水を注ぐか」、加減がそれぞれ異なりますし、「命の泉」がよみがえるまでの時間も異なります。当会では四原則を掲げていますが、これさえやれば不登校は100%治る式の克服方法というのは、ありません。
=子どもは かけがえのない日々を今、生きている=
しかし、親としては何よりもまず、共感することもなく、感動することもなく、子どもがかけがえのない日々を今生きていることに注意を払うこともなく、漫然と日々を過ごしてしまう事が無いようにしたいものです。
「見ざる、聞かざる、言わざる、感じません、考えません」
こうやって嫌な事から目を背けてしまうのは、「こころの中で遊ぶ平和主義者」だけの専売特許ではありません。多かれ少なかれ我々親も、そうやって大切なものを見過ごしているのかもしれません。
=親のこころがカサカサに乾いていないだろうか?=
親がまず生き生きと感じること、つまり、喜べるように生き生きとしている事、共感できるように張りつめている事、感動できるように目を見張っていること、痛いものは痛いと感じられるように敏感でいる事が大切です。
「ああ、いつの間にか子どもは〇〇歳になってしまったなあ」
もしこんなことになると、褒めることも、共感することも、感動を伝えることも、出来ないかもしれません。そして、それが出来ないと、子どもの命の泉はだんだんと涸れてしまう事になりかねません。まずもって、親のこころがカサカサに乾いているからです。
=生きることに過敏(カビン)でありたい=
この意味で、最初に、親が「真に自分自身を生きる感覚」を甦らせることが必要なのかもしれません。そして、いつも忘れたくないのは、不登校は何か理由≒意味があって、ご家庭を訪れたということです。
「心の中で遊ぶ平和主義者」のことを考えるとき、私たちは、生きる「理由」と生きる「意味」に対して、人間として、親として、過敏でありたいものですね。
以上