お母さんのカウンセリングで子どもの不登校が解決に!!(後半)

=E子さんは「心の中で遊ぶ平和主義者」=

さて、皆さんには、不登校になったJ君の前にお母さんのE子さんの「性格タイプ」を考えて頂きましょう。このブログを読んできた方ならE子さんが、「心の中で遊ぶ平和主義者」http://kagayake.org/blog/?p=636 だとすぐに感づいた方もいらっしゃったかもしれません。E子さんは、何でも我慢してきてしまったのです。この性格タイプは、少しでも平和を乱しそうなことは決して要求しようとしません。誰かと衝突するくらいなら譲歩することを選びます。いえ、平和を乱すとか、衝突するとか、そんなことになる以前に、「お母さんはきっと忙しいに違いない」、「お父さんは今はお金がないんだ」「何か言ってお母さんを困らせたくない」、「私が黙っていればこの家は平和だ」、といつもこんな風に考えて我慢を通してきてしまったのがE子さんの生い立ちでした。

=では、J君の性格タイプは?=

そこで、どうして親であるE子さんの性格がJ君の不登校と関係があるのでしょうか?それを考える前に、今度はJ君の性格タイプを考えてみる必要があります。このブログ、「機能不全家庭」を扱った五回シリーズの中で、子ども達が「どのような役回りを演じるのか」を解説しました。「ヒーロー(ヒロイン)」「リトルナース(幼き看護者)」「ピエロ(道化師)」「ロストワン(居ない子)」「プリンセス プリンセス(命なき人形)」「スケープゴート(生贄の羊)」と六つの役回りを説明しました。

=J君は「スケープゴート」?!=

ここまでの説明だけで、J君が「スケープゴート(生贄の羊)」の役回りhttp://kagayake.org/blog/?p=602 を演じているのではないかと思った方は、とても鋭いと思います。スケープゴートは家庭の中で問題があらわになる前に自ら問題を起こして、家庭の問題を見えなくする役回りでした。それではJ君の、そしてE子さんの家庭の問題とは何だったのでしょうか?それは、J君の兄が「ヒーロー」だったことと深く関係しています。母親のE子さんは、忍耐強く不平不満を言わずにいつも懸命に頑張るJ君の兄を愛しました。J君のお兄さんは優等生であり模範生でした。弟のJ君は、無意識に「母親が兄を愛し弟を顧みないという家庭の問題」が明らかにならないように、次々と問題を起こしてきたと言って良いでしょう。彼の意識の上では、母親が自分を愛さないという事態が決定的にならないように、母親の注意関心を自分に引き付けようとしたと言って良いでしょう。つまり、「無視されるくらいなら、殴られる(叱られる)ことを選んできた」のです。J君の問題児ぶりは実は幼稚園時代から明らかでした。小学校に進んで体力がついてから、相手の子に怪我をさせるような事態になったのです。

=いまだ癒されぬ傷=

さて、E子さんのカウンセリングに戻りましょう。ある日、E子さんに「気づき」が訪れました。「あなたは手のかからない楽な子どもだった」と母親から言われてE子さんの胸に湧き上がったのは「怒り」でした。しかし、E子さんがその怒りを怒りとして認識するまでにさらにひと月近くがかかりました。自分は恵まれた子どもだった、愛された子供だった、両親は強く深い愛情を自分に注いでくれた、そういう思いがE子さんの「心の影」を見えなくしていたのです。E子さんの両親の愛情は、もちろん、疑うことが出来ない真実です。しかしながら、幼いE子さんが深く傷付いたこともまた真実でした。E子さんの「こころの影」に隠されていたものは「いまだ癒されぬ傷」でした。

=「私はJが嫌いだった」=

E子さんがその傷に気が付いてから更に四回ほどのカウンセリングを経て、I子さんはまた愕然としました。「私はJが嫌いだった」という事実に突然、打ちのめされたのです。兄と違って、そして子供時代の自分と違って、何でも訴えてくるJ君が大嫌いだったことにE子さんはようやく気が付くことが出来ました。兄に注いだ愛情に比べて弟のJ君に注いだ愛情はなんと形ばかりのものだったことでしょう。何か買って、何かやってと言われるたびに自分の心に射した影は「まるで憎しみのようだった」とE子さんは気が付くことが出来ました。そして、こころから思ったのです、「Jが要求していたものは私が昔欲しかったものばかりだった」と。

=J君の兄に対する愛も歪んでいた!=

こうしてE子さんのJ君に対する接し方は劇的に変わることになりました。その変化がJ君の心に沁みわたって、彼は瞬く間に元気を取り戻していきました。さらに、E子さんは、J君の兄に対する自分の愛情がゆがんでいる事にも気が付きました。要するに、エゴに満ちた愛情がJ君のお兄さんに「ヒーロー」であることを要求してきたことに気が付いたのです。

=J君の不登校がもたらしたもの=

いま二人の子どもの信頼に満ちたまなざしの中で、E子さんはしみじみと思います。自分はなんと浅い人生を生きてきたことだろう、何か問題がありそうな事態になると、いつも「見ざる、聞かざる、言わざる、感じません、考えません」と、当事者になることからまるで逃げてきてしまった。そのためにもっともっと深く味わうべき喜怒哀楽を失ってきたのだと。子どもが出来てから、特に二人目のJ君が物心ついた頃から、なぜ自分が「しんどかった」のか、今では良く分かるとE子さんは語ります。J君が母親である自分の生い立ちの痛みを語りかけてきたからだとE子さんは言います。もし、Jが自分のもとに来なかったら自分は何と不毛な人生を生き続けたことだろう、と語るE子さんはいま本当に幸せそうです。

以上

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  • カテゴリー: 不登校 |
  • 投稿日: 2020年04月27日 |

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