ACシリーズの最終回(第6回)「不登校とACの間」
=ACは不登校経験者か?!=
機能不全家庭は、多くのAC(アダルトチルドレン)を育てるという意味で、「ACの揺り篭(カゴ)」とも言えます。子どもがどうやって「機能不全家庭」を生き抜き、AC(アダルトチルドレン)という大人に成長していくかを考える前に、AC(アダルトチルドレン)と不登校の関係を考えてみましょう。ACは不登校を経験して大人になっていくのでしょうか?
=不登校100人中90人は「遊離型」!=
もう一度、不登校と子どもの持つ性格の関係を復習しておきましょう。不登校になる子どもには、遊離型と言われる性格の持ち主が多いと書いてきました。遊離型には、「人がうっとうしい思考回路型」、「心の中で遊ぶ平和主義者」「自分らしさにこだわる個性派」の三つの性格タイプがあります。この「遊離型」の三つのタイプには、人との関係で、「自分と人との間に一線を引く」という共通点がありました。不登校の子ども100人に出会うと、約90人はこの遊離型の性格を持っていると思って間違いありません。
ところが、「機能不全家庭」という過酷な家庭環境で育ち、生きることに充実感や喜びを感じられない人、つまりAC(アダルトチルドレン)の人を見ると、この遊離型の人ももちろん少なくないのですが、様々な性格タイプの方がACになっていることが分かって驚きます。ACの方々には、特に「遊離型」が多いというわけではないのです。「自己主張型」に属する性格タイプの人もいますし、「協調型」に属する性格タイプの方々もいて、誠に様々です。不登校になっている子に「遊離型」の子が圧倒的に多いのですから、ACの方々の中にも遊離型の性格タイプの方々が多いと考えても、あながち外れとは思えないのですが、これはどういうことなのでしょうか?
=不登校になれたのならACにはならなかった?!=
可能性がある唯一の答えは、機能不全家庭を生き抜きACになる子どもたちは、不登校にはならない、ということだろうと思われます。つまり、過去に機能不全家庭を生き抜いてACになってしまった方は、不登校にはならなかった、ということになります。逆説的な言い方をすれば、家庭環境が厳しすぎて不登校という手段に訴えることが出来なかった、と言えるかも知れません。さらに言えば、不登校になれるくらいの余地があれば、逆に、ACにはならないで済んだということかも知れないのです。
=ACと不登校がつながる接点は?=
この点は、多くのことを考えさせられますが、不登校とACとを直接に結びつけて論じることは出来ないと言うことを意味しています。しかし、他方では、ACとなってしまった方々が結婚して子どもを設けると、その子が不登校になってしまうという例は枚挙に暇(イトマ)がないことも事実です。より正確に言うと、お父さんお母さんがACの家庭に、「遊離型」の性格タイプを持った子が生まれてくると、その子が「不登校」になる可能性が非常に高いということになります。つまり、ACが不登校とつながるのは、ACの親に育てられた子どもたちの世代で、ということになるのです。
=遊離型は親とは関係なく不登校になりやすい=
注意しなければならないのは、不登校の子の親がすべてACだということではないという点です。「遊離型」の子はもともと対人関係に弱点を抱えているため、不登校になる可能性が非常に高いのです。この点を間違えると、不登校の子の家庭に対する見当違いな偏見を生みかねません。
=あなたがACを克服すれば、子どもは不登校を克服する!=
このことは、機能不全家庭を生き抜いてACになった方々の多くは、自分が家庭を持ったときに、自分が子ども時代を生き抜いたのと同じ過酷な家庭を作っている訳ではないということを表しています。このブログを読む皆さんの中には、子ども時代、機能不全家庭を生き抜いて、今、ACとして不登校の子を抱えているという方も少なくないでしょう。しかし、多くの場合、あなたが現在作っている家庭は、あなたが育った家庭ほどに過酷ではないのです。なぜなら、あなたのお子さんは不登校というシェルターに身を寄せることが出来たからです。さらに言えば、あなたはあなたの親ほどの毒親ではないのです。ひょっとしたら全然毒親ではないかも知れません。このことは、あなたがこれからACを克服して行くときにとても大切なポイントになります。そして、あなたがACを克服すれば、子どもは不登校を克服します。これは確かです。
以上
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興味深く読ませていただいております。
私は多分ACです。
不登校ではなく、母親のみに向けて暴力を振るった女の子も、
同じように言えますか?
私自身は母親に完全に支配されて、反抗も不登校になることも
自分らしく子ども時代を生きることもできませんでした。
やりきれない思いを、ありったけのエネルギーを使って
母親である私に向けることができた娘を、心底すごいと認めて
あげたい気持ちでいます。私にできなかったことができたのだと。
娘の暴力を恨むような気持ちが全く今は無いのが不思議な
くらいです。むしろ大切なことに気づかせてくれたと感謝
しています。
実は、暴力が一番酷かった頃に一度相談に伺いました。
数年経って、独立して家を出て行った娘に2年会えていませんが、
いろいろと学んで、母親としての心境は変化しています。
きちんと社会生活を送れている娘に、いつかまた会えたらと
願っています。
吉田 智恵子さま、
コメント頂きまして有り難う御座います。
そうでしたか、一度、相談に見えられたのですね。
毎週のようにご相談があるので、記憶は全くありません。
申し訳ありません。
一般論でお答えします。
>不登校ではなく、母親のみに向けて暴力を振るった女の子も、同じように言えますか?
ご質問から真っ先に思い浮かぶのは、「スケープゴート」です。
http://kagayake.org/blog/?p=602
「子どもはどのようにして機能不全家庭を生き延びるか」というテーマで六つのタイプを挙げています。
母親の自分に対する無関心や無視に激しく抵抗した中での母親に対する暴力とみれば、この「スケープゴート」の可能性がありますので、ご一読下さい。
思い当たる節がもしあれば、当時のご家庭は「機能不全家庭」だったかも知れませんね。そして、もしそう言えるとしたら、吉田さんはAC故の毒親だったかも知れませんし、お子さんはACになっているのかも知れません。
しかし、そうでない可能性もありますね。
>娘の暴力を恨むような気持ちが全く今は無いのが不思議なくらいです。
ぜひ、このような母親としての心境の変化を娘さんに伝えたいものですね。
暴力の激しかった頃に、ご自分の子ども時代や親のことを話したことはありましたか?
もしそれが無くても、今は、その力があるのだと信じて下さい。
娘さんも、きっと成長していることでしょう。
話し合い、共感し合うことがきっと出来ると信じて下さい。
再会できる日が一日も早く訪れるように、私も心からお祈りしております。
大門隆