N君のインタビューから、N君のお母さん像を想像して下さい。

中2から輝け元気!に来たN君とのインタビューを編集して掲載します。

Q. N君はいつから不登校になったの?

N君:休み始めたのは中2の夏休み前からです。

Q. 不登校の原因は?

N君:母親の過保護ってやつかなあ・・・・・・・・。いま考えるとうちの母親って何でもやってくれちゃって、自分にとって絶対的な存在だったから、逆らうことが出来なかった。言われたとおりにしないとゴチャゴチャと面倒臭いことになってゲームする時間もなくなってしまうから、何でもハイハイと表面的にいい返事をして、都合の悪いことはみんな嘘でごまかしていたんだ。何でも嘘でつじつまを合わせて、親の言うことを完璧に守る良い子を演じていたんだけど、ある時、どうしてもつじつまの合わないことが重なって、にっちもさっちもいかなくなったんだ。まあ詳しい話は出来ないけど、嘘のつきまくりがもう楽しめるレベルを超えてしまって、どうにも身動きがとれなくなった。

Q. 身動き取れないってどういう意味?

N君:自分がついた嘘を覚えていなくてはならないから、それが積み重なって凄いストレスになってきた。自分の嘘に騙されている母親を見ると罪悪感が出て来て、特に朝起きると、その日の嘘を確認しなければいけないから、トイレで考えているうちに、トイレから出られなくなったんだ。あたま真っ白状態で何時間もトイレで座っているようになった。学校も休みが増えて部活も休むようになり、本当に体調も悪くなった。学校へ行けば行ったで、友達から「おまえ、ときどきスッゲ、顔しかめるよな、なにそれ?」とか言われたんだ。自分で気が付かないうちにすごく「チック」が出るようになったんだ。

Q. そんな状態でも学校は行っていたんだ?

N君:行っていたけど夏休み明けから休みがどんどん増えて12月からはほとんど行けなくなった。嘘は相変わらずつきまくっていたけどもう限界で、限界が来ると、自分で頭の中を真っ白にして、その真っ白状態の中で休むんだ。

Q. それで、輝け元気!に行ったの?

N君:そう、母親が大門さんと会って来て「相談にのってもらいなさい」って。行ってみたらものすごく話がしやすい人で、ホントに何でも話してしまった。言えないと思っていたアタマ真っ白状態についても、こういう風になるんだと説明したら、「そりゃ、まずい」と言われた。何がまずいのか良く分からなかったけど、とにかく最初の日に「アタマ真っ白状態に逃げ込んじゃいけない。なるべく頑張って、自分自身を見つめろ」って言われたんだ。それから、「無理して学校に行くことはないから休みたいだけ休め」って言われた。だから、最初っから気が楽になったよね。

※この時N君は「解離性意識障害」というとても危険な状態だったと思われます。

Q. それで、本格的に不登校になったわけだ(笑)

N君:そうなんだけど、2回目のカウンセリングの時には、「何か隠していることがあるだろ」って言われて、嘘つきまくりの事も言ったんだ。そうしたら「なぜ嘘なんかつくんだ?正直にやっていくのがいちばん楽なのに、なぜ?」と訊かれて、どうしてもうまく答えられなかった。本当にどうして自分が嘘ばっかしつくようになったのか分からなかった。

Q. さっき、お母さんの過保護が原因だって言ったよね?

N君:それはカウンセリングが半年も続いてからようやく分かったことなんだ。自分の性格タイプをずいぶん言い当てられたけど、なぜ嘘をつきまくるのかは大門さんにも分からなかったみたい。しばらく経ってから反抗期の話になって「N君は親に反抗しないのか?不満はないの?」と言う話になって、不満を言い始めたら止まらなくなった。もっとゲームをしたい、もっとカードゲームをしたい、もっとマンガを読みたい、部活仲間ともっと遊びたい、楽器も習いたい、夜遅くまで起きていたい、勉強はしたくない、何から何まで不満だらけだということが分かって自分でも驚いた。とにかく母親に逆らうと、もう半日も説教されるから、ただでさえ時間がないのに、もうますます面倒なことになる。だから、親には逆らわない、ぜーんぶ、嘘でごまかすということにしてきたんだ。

Q. 要するに、自由がなかったということか?

N君:完璧にやれば自由に出来たけど、完璧なんてあり得ないじゃん?だから、嘘ついて自分の時間を確保したんだよ。口で言って分かるような人じゃないからね、うちの母親は。何でも先回りして段取り凄いんだ、その段取り通りにしないと怒るし、その通りにすれば恩着せがましく感謝を要求してくるし、感謝が足りないと言ってすぐにすねるし、もう自分でも訳わからなくなるくらいに嫌いだったよ、母親のことが。もう心底、母親のことが嫌だったんだ。

Q. それが分かってすっきりして学校行けるようになったの?

N君:無理、無理、無理。だって状況は変わらないんだもん。

Q. それじゃどうしたの?

N君:大門さんが、親に反抗しろって。嘘なんかついてごまかさないで堂々と反抗しろって言ってさ。そいで、具体的にどうやって反抗するかまで教えてくれた。すっごく怖かったけど、小さいことから反抗していったんだ、少しずつ。うちの母親、しばらくものすっごく不愉快そうな顔してた。多分、大門さんからお母さんにも話が行ったんじゃないかな。ゲーム機やスマホを取り上げられるとか、仕返しもなかったので、だんだん大きな反抗が出来るようになった。それで、中3の4月からまた毎日学校へ行けるようになったんだ。そして、反抗できるようになると自分を許せるようになってきた。

Q. 自分を許せるようになった?それってどういう意味?

N君:反抗できない時は、嘘ばかりついて自分はなんて嫌な奴だと心底、自分が嫌いだったんだけど・・・・・・・・。つまり、罪悪感が重くって、苦しかったんだ。

Q. それで、今も反抗してるってわけ?

N君:時々ね。でも、もう飽きたから手加減してる。学校の成績も下がったからね。少しは勉強しなくっちゃ。そうそう反抗ばかりしてられないよ。お母さんの愛情は今でも重いけど、もう気持ちの中では、母親のことは許している。自分のことを思ってくれていることに感謝もしているよ。それが分かったから、もうあんなに嫌な気持ちに苦しむことはないと思っている。気が楽になったんだ。

以上

さて、次回はN君のお母さんの性格タイプを見ていきます。お楽しみに!

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コメント

  1. 山澤 ほなみ

    真面目で、子育てに一生懸命で、完璧でないと自分が許せなくなるタイプのお母さんだったのでしょうね。

    自分にもそんな気があったかもしれない。
    仕事をして忙しかったこともあり、「完璧な親」を演じている時間がなかった。
    それがかえってよかったのかもしれない、と思うと、ゾッとする。

    「子供のため」ということばの魔法で子供の人生をコントロールしようとするのは、
    実は「自分のため」だったと言うことはよくあること。
    そして、渦の中で夢中でもがいているときほど、客観的な視点を人は持ちづらいもの。

    嘘を付かなくてもすむ関係性の構築
    親子関係でも、会社でも、世界でも、それが大事なのだろう。
    虚栄心や見栄を捨て正直に心は丸裸になる。
    勇気はいるけど、確実にラクになる。
    閉塞社会に風穴をあけるだろう。

    いろいろ考えるきっかけになりました。
    どうもありがとうございました。
    続きを楽しみにしています。

    1. kagayake 投稿作成者

      >渦の中で夢中でもがいているときほど、客観的な視点を人は持ちづらいもの。
      ほんとにそうですね。
      でも、N君のお母さんは信念の人と言って良いかも知れません。
      自分ではもがいてないし、客観的な視点を持っていると確信していたかのように思えます。

      >嘘を付かなくてもすむ関係性の構築
      「関係性」を親子の「相性」と置き換えると、N君とお母さんほど相性の悪い親子もめずらしいかも知れません。
      これは、お母さんの方を批判しているのではないのです。

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