「不登校」とかけて「学校に行きたい子ども達」と解く。さてその心は?後半です。


=九割以上の不登校児は学校に行きたい!=

つまり、不登校の子ども達の9割以上は、「条件さえ整えば」、みんなと一緒に学校に行きたいし、普通に学校生活を楽しみたいと思っているのです。

=学校は子どもが自分自身を豊かに磨いていく場=

考えてもみてください。幼稚園や保育園に通っていた子ども達が、ランドセルや学用品や新しい洋服を買ってもらい、いついつが小学校の入学式だからとお母さんから言われていれば、ほとんどの子が「嬉しい、学校に行きたい」と期待に胸を膨らませているのではないでしょうか。何年か経ち様々な出来事があって学校が必ずしも思ったようなところではなくなってしまっても、「条件さえ整えば」、学校は本来、同世代の子ども達と交流しながらいろいろなことを学び、色々な体験を通じて自分自身を豊かにしていく場所であることに何の変わりもないのです。

=興味や関心、あるいは好奇心は、子どもを成長させる原動力=

興味や関心、あるいは好奇心と言うものは、人間の本質的な部分で、これは勉強に限られたものではなく、生活そのものを動かす原動力です。生活と言うのは、様々な体験であり、様々な人たちとの交流です。

=「行ける場所を別に作ろう」ではダメ=

ここを、勘違いして「彼らは学校に行きたくない。だから、学校以外の場を作ろう」と考えると、スタート地点ですでに間違った方向を向いていることになります。各地で、「適応指導教室」や「教育支援センター」が設けられて(ところにより様々な別の名称で呼ばれていますが)、「学校に行きたくない子ども達」だけを集めていますね。大半が、「イジメのない教室」、「強制のない教室」、そして「宿題も勉強もない教室」であろうとしているように見受けます。私から見ると、大半は「条件さえ整えば」、普通に教室に行ける子ども達です。

=大切なのは学校へ行ける条件作り=

適応指導教室等が不要だと言っているのではないのです。教室には行けないけれど適応指導教室になら行けるという子ども達のためのシェルターはあって良いと思います。共働きをせざるを得ない学齢期の子どもを持つ家庭も少なくないですしね。でも、本来やらなければならないのは、「学校へ行ける条件を整えること」です。

=恐れずに尋ねてみよう!=

一人一人の子どもに向き合って、「なぜ、教室に行けないの?」、「なぜ、学校に行きたくないの?」と恐れずに尋ねてみないといけません。それが出来ないのは、そういうことが聞ける人間関係が出来ていないからでしょうね。であれば、そういう人間関係をまず作らないとなりません。そういう関係作りの場としての適応指導教室等であれば、ほんとうに「社会に適応できるようにする指導が可能になる場」と言えるのだと思います。

=学校側がやれることは少なくない!=

もし、そういう場が出来れば、その子の為にどういう条件を整えてあげればいいのか分かるでしょう。学級(クラス)にいるやんちゃな子が苦手なのであれば、そのやんちゃな子を指導しなければいけないかもしれません。担任の先生が恐いのであれば、担任の先生に指導方法を変えてもらう必要があるかもしれません。イジメがあるなら、いじめを止めさせないといけません。

=同じ高さの目線でやりとりしたい!=

あるいは、家庭に問題があるのかもしれません。ひょっとしたら愛情を感じられずに安心できないのかもしれません。過干渉や過保護で自立心が育っていないのかもしれません。何か精神的なショックを受けて茫然自失(見ざる聞かざる言わざる状態)なのかもしれません。

ひょっとして、こんなやり取りから子どもが何か心の病気を患っているかもしれない事が分かるかもしれません。

=たった一人でも真の理解者がいれば=

中学生や高校生ともなれば、その子に固有の性格的な弱点やこだわり、思い込みなどを本人に自覚させられるかもしれません。こういうことに、もしその子が気が付けば、その子の「人との交流の仕方」は劇的に変わるかもしれません。たった一人でも真の理解者がいれば、その子どもの「世界の見え方」はまるきり違ってくるかもしれません。

=見方が根本から間違っている?!=

要するに、いま、全国の小中学校がやっている「適応指導」や「教育支援」では、何も問題は解決しないのかもしれません。その根っこには、「学校に行きたくない(実は行きたい)子ども達」を別のところに隔離して、「普通の子ども達」の教育を優先しようという意図さえ見え隠れしています。どうしてそんなことになるかと言うと、根底には、「不登校の子ども達は学校に行きたくないんだ。だから、どうしようもない」という大人の「決めつけ」があります。見方が根本から間違っているのです。

=不登校の再生産システムが確立されている?!=

これは、その当事者の子ども達にとって大きな不幸であるばかりか、「学校に行きたくない子ども達」を隔離して、学校や学級が抱える問題をないかのように扱うからこそ、ますます「学校に行きたくない子ども達」を増やしてしまうという悪循環を加速しています。不登校の再生産システムが確立していると言っても言い過ぎではありません。

=齢四十を超えようという引きこもりの方々=

こうして不登校になり、やがて「引きこもり」になった子ども達が、今や何十万人という規模に膨れ上がってしまいました。私が時々訪問する引きこもりの方の中には齢四十を超えようという方々がいらっしゃいます。

去年の統計ですが、15歳から39歳までの引きこもりの方が全国で、540,000人、40歳から64歳までの方では、613,000人を数えます。後者の場合では、80歳代の親が50歳代の子を養う「8050問題」と言われています。なんと、引きこもり問題でも高齢化が進んでいるのです。

=社会全体がAC(機能不全家庭)化して行く?!=

この道三十年と言う視野から見ると、アダルトチルドレン(AC) の親がますます増えているような気がします。その背景をさらに大きな視野から見ると、社会全体がAC(機能不全家庭)化しているようにも見えるのです。しかし、この問題を語ろうとするには紙数が尽きました。

=学校に行きたいのに行けなくて苦しんでいる子どもたち=

このブログの読者の皆様には、「不登校はけっして学校に行きたくない子ども達ではない。むしろ、学校に行きたくて、その為に苦しんでいる子ども達なのだ」という認識をもって頂きたいと思います。

=全国で百数十万人と言われる引きこもりを減らしていくためには=

一人でも多くの方がこういう認識をもって、教育行政や教職員に働きかけをして頂きたいと願っています。

以上

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  • カテゴリー: 不登校 |
  • 投稿日: 2019年04月11日 |

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