ラインと中高生

先日スマホ/ラインの功罪を論じたTV番組で、「〇〇の~(投稿)面白くない?」の最後の「?」を忘れただけでイジメに遭った子がいるという実例を紹介していました。普通だったら、あ、これ、「?」忘れただけなんだと気が付きそうなものですが、もし、そう気が付きたくない理由があったのだとしたら・・・・・。

 

青森の高2女子の自殺について私は、親は子供のラインを止めさせろという投稿をしました。極論ではないか、使い方のルールを決めれば、というご意見を頂き、中高生のラインの現状について皆さん、全く分かっていないという思いを深くしました。ラインはグループ内での無料のやりとりが可能、これが魅力であると同時に、これが落とし穴なのです。

 

グループ宛に発信(投稿)すると、メンバーが読めば「既読」と表示されてそれが発信者に分かる仕組み。例えば、発信したのに「既読」が表示されない相手がいたとすると、それだけで発信者は「無視された」という事になります。着信があれば「開く」をしなくても内容は読めますので、受け取り側はついつい忘れがちになります。また、「既読」になっていても何のコメントも返ってこないと、やはり発信者は「無視された」という事になります。

 

つまり、ちゃんと開き「既読」にして何も返事をしないと言うことは特別の意味を持つのです。「無視された」に対して、「あれくらいで無視というなんて、フツーじゃない」とかです。「○○の~って面白くない?」という最後の「?」を忘れてイジメに遭ったという話しは、百も承知のイジメなのです。

 

特に学校でラインのグループを作る時はたいてい10人以上の子ども達が参加しますが、その中には多様な人間関係があり凄く親しい人同士がいる一方で、他方、それほど親しくない人同士がいます。当然、その中で主導権争い、勢力争いという類のことが起こりがちです。些細なことでイジメが起こります。

 

「?」があったかどうかではなく攻撃側はその子をイジメの標的にして、ほかの子たちに「あなたは虐める側?虐められる側?」と敵味方をはっきりさせようとライン内で色々な発信をします。これはどちらにも付きたくない人への明らかな恫喝なのです。ライン上の顔も声もない「文字」による敵味方の峻別なのです。

 

こういう事情があるために、一度やりとりが始まったら途中で止めて寝てしまうなどと言う事は怖くて出来ません。最後までやりとりに参加して「またあした!お休み」というところまで付き合わないと、いつ自分がイジメのターゲットになっているとも知れない世界があるのです。

 

県条例で午後11時以降の中高生のラインを禁止した滋賀県のアンケートで、何と半数近い子どもが「規制に賛成」と答えているのは、こういう事情があるのです。具体的に、「もう時間だから止めようよ」と言いやすくなって寝る時間が増えたという声は、寝る時間だけの問題ではけっしてないのです。

 

うちの娘は起立性調節障害で半年学校を休みましたが、その原因のひとつにラインでの深刻な勢力争いがありました。今は私がラインを禁止してメールでやりとりさせています。そればかりか慎重な娘は、メールに対してわざわざ電話して答えています。その娘から、最近はラインを止める友達が増えていると聞きました。

 

「ラインはイジメの温床になっている」というのはこういうことなのです。特に女子の間でラインイジメが酷いです。自殺した高2の女子が「私はどちらにも付けない」と感じていたとしたらどうでしょうか。

親がラインの実態に気付いて禁止してしまえば、生き延びる事が出来たかも知れません。

 

私のところに来ている大学生からでさえ、ラインでのトラブルの相談を受けます。ホントに未成年者の使用を禁止にしたいくらいですが、未成年でも立派に働いている人がいるし、法律で禁止するというのはどうだろうと言う気がします。やはり、買い与えている中高生の親が使わせないというのが筋なのでしょうね。

せめて制限する、たとえば夜9時以降はスマホを取り上げてしまうとかです。

 

うちの娘は友達に「ラインは親が許してくれない」とはっきり言っています。また「ライン止めて楽になったわあ」とも言っていました。そして、最近では仲の良い子が複数、ラインを止めたそうです。その子たちの親が弊害に気が付いて禁止にしたのかどうかは知りません。でも、トラブルに巻き込まれやすい通信媒体を禁止する、あるいは制限するのは親の義務ではないでしょうか。

 

強くて悪意の子は一握りなのに、ラインはその悪意の子の影響力を拡散し強めます。みんな虐められる側になりたくないからです。この連鎖が自殺という取り返しの付かない結果を生みます。

いま苦しんでいる子には、「不登校になってラインを切りなさい」と言いたいです。

不登校は、いじめ問題に限らず、「命をつなぐシェルター」だという側面もあります。

忘れたくないですね。

  • カテゴリー: 未分類 |
  • 投稿日: 2015年01月25日 |

コメント

  1. つばさ

    素敵なBlog、拝見しました。
    中3の娘の母です。
    うちは不登校扱いで、オール1で、一週間後に受験に臨みます。
    娘は今増えている、睡眠障害で、朝から学校にいけなくて、それが遅刻のさいに冷たい視線となり、クラスに行きづらくなりました。今は別室に行っています。
    ラインは、中一のとき、他校の生徒から、死ね、死ねと送られてきて、適応障害になり、入院してから禁止しています。そのメッセージは、もとクラスメイトから送られてきましたが、端末の使い回しにより、誰がやったかわからず、学校も全体指導にとどまり、悔しい思いをしました。便利ですが、子供にはスマホはもたせるべきでないと考えます。
    うちは、学校に行けても行けなくても、放課後から8時半までしか使用を認めていません。そのおかげで、返事を考える必要もなくなりました。
    親が主導しなければ、子どもの問題は解決しません。

    1. 大門隆

      >親が主導しなければ、子どもの問題は解決しません。
      そうですね。
      「子どもの自主性を尊重する」と言いながら、実態は「放任」と変わらないということが少なくないように思います。

    2. kagayake 投稿作成者

      それとお嬢様には受験、頑張って欲しいですね!
      実は、私の娘も中3で来月から試験本番を迎えます。娘もかなり重症の起立性調節障害をやりました。
      半年で持ち直しましたが、教育の現場が起立性調節障害を含む睡眠障害をもう少し理解してほしいと思いました。
      精いっぱい応援してまいりましょう!!!

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