不登校になりやすい性格がある?第3回「心の中で遊ぶ平和主義者」


=名付けて「心の中で遊ぶ平和主義者」!=

その1では「人がうっとうしい思考回路型」を、その2では「自分らしさにこだわり抜く個性派」を扱いました。不登校の性格タイプでは、その1が一番多く「大山脈」と言えます。これに比べて、その2の個性派は小ぶりですが、「切り立った崖」のようなイメージでした。この伝でいくと、今回のその3「心の中で遊ぶ平和主義者」は「小山脈」となりましょうか。なだらかですが、数としては「個性派」より多いかも知れません。このタイプも、大きな三つの分類では「遊離型(人との距離を取ろうとする)」に属します。

=人を安心させるが対人関係はかなり受け身?!=

外見的にのんびりした性格のように見えますし、事実、人との関係では控えめで周りに合わせますから、人を安心させる力があります。人柄がとても良いので上からも下からも好かれますし、先生などからも可愛がられることが多いです。言わば「持てるタイプ」と言えると思います。しかし、対人関係はどちらかというとかなり受け身です。

=心の中は親にも明かさない???=

このタイプの子どもは幼稚園/保育園時代からちょっと複雑な動きを見せることがあります。園の下駄箱で鋭く園庭を見渡し、ある時はそのまま園庭に遊びに出るかと思えば、ある時には教室に向かいます。親から見ると、園庭に直接行くか、園庭ではなく教室に行くかをどういう基準で決めているのか見当が付きません。本当に注意深く観察していると、実は、「嫌いな子」が園庭に居る時には上履きに履き替えて教室に向かい、その子の姿が園庭に見えないと履き替えずにそのまま園庭に行って遊ぶことにするのです。そして、そういう自分の判断基準を幼くとも明確に理解しているにもかかわらず、それを親に説明しようとはしません。

=距離が近すぎるのは苦手?!=

これだけ徹底して「嫌いな子」を避けているわけですから、その子と仲が悪いかというと必ずしもそうではなく、避けられている方の子は「心の中で遊ぶ平和主義者」の子をとても好いているという場合が少なくありません。ハグしたりほっぺに触ったりしたがるのですが、それがこのタイプには、距離が近すぎて煩わしいし、うっとうしいのです。表面的にはにこにこしていますが、触られたくないし距離が近すぎるのは苦手なのです。

=No!と言えないからその状況から逃げる!=

「やめて!」と言えばいいのですが、それが言えません。つまり、「嫌いだから遊びたくない」と言わなければいけない状況から徹底して逃げるという行動をとります。

=限界内のストレスには耐えられる!=

嫌な状況から逃げてばかりいるわけですからさぞかしストレスになるだろうと思うかもしれませんが、一定の限界があって、それを越えなければ、ストレスに苦しむそぶりは見せません。嫌なことがあっても、このタイプは本当に大切なことが心の中や想像の世界で起こりますから、ストレスが限界内であれば、現実世界から離れて、自分の心の中で十分に楽しむことが出来るのです。

=どうして本音を言ってくれないの?と苛立つお父さん=

このタイプの子を持つお父さんが相談に見えて、しみじみと語ってくれました。その家族はスキー一家で毎年冬には二度三度とスキー場に行きます。その女の子は、「よし、これからリフトに乗っていざ滑ろう」という時に、「おしっこ」と言うのだそうです。せっかく履いたばかりのスキーを脱がせてトイレに連れていくと、なかなか出てきません。やっと出て来てまたスキーをはかせて、お父さんはその子を膝にのせてリフトに乗ります。その子はリフトの終点からレストハウスのある麓まで、それなりに楽しそうに滑り降ります。お父さんが当然のように、もう一度リフト乗り場まで行くと、その子はまた「おしっこ」と。「さっき行ったばかりだけど、またおしっこなの?」と聞くと、にこにこしながら大きくうなずきます。仕方なく、またレストハウスに戻りトイレに連れていきます。また、なかなか戻って来ません。お父さんは外に出てタバコを一服し、さらにトイレの出口でその子が出てくるのを待ちますが、まだ出てきません。たまらずトイレの出口から中に向かってその子の名前を呼びます。「○○、まだ?」。返事はありません。ふとレストハウスの中ほどを眺めると、何とわが娘が土産物売り場で何やら嬉しそうに商品を手に取って眺めています。「なんだ、出ていたのか。早く滑りに行こう」と言うと、「パパ、お腹減ったね」と言います。「じゃあ、もう一本滑ったらお昼にしよう」と父親がいうと、その子は、「○○(自分)がここでママとニイニイを待っていてあげる」と言うのです。

=お父さんと衝突したくない!=

要するに、その子の本音は「お外は寒いしスキーはもう嫌。滑りに行きたくない」ということなのです。でも、実際にそう言って駄々をこねると、お父さんとの間の平和をこわす事になるので、その事態を避けられるような配慮をして、こういう言動をとっているのです。

=お父さんの嘆きは続く=

「今回中2で、娘が不登校になって何が困ったかというと、なぜ学校に行かないのか、その理由を少しも説明してくれないということです。私は、自分が父親として娘とはとても仲が良いと自負していました。ところが、何をどう聞いても泣いているばかりでさっぱり埒があきません。娘は成績だって良いし、音楽だって、美術だって、体育だって人並み以上にこなします。友達だって多いし、映画や演劇にも興味があって人一倍、感受性も豊かなのではないかと思います。ところが何としても、学校に行かないことについては口も心も開いてくれません。そして、毎日毎日、寝てばかりです。横になっているのではなく、ほとんど一日中まどろんでいるというか、真っ白な顔をして実際に眠っているのです」。

=このタイプに多い起立性調節障害=

このタイプの子どもは、実際、思春期に「起立性調節障害」や「睡眠障害」を起こすことが多いように思います。

実際にこのタイプは、自分自身に目覚めているかそれとも眠っているか、リラックスしているかそれとも緊張しているか、平和を感じているかそれとも痛みを感じているか、それぞれどちらか一方の状態であることが少なくありません。ストレスの限界内であれば、大抵は前者なのですが、ストレスが限界を超えるとバランスを崩して後者の方に落ちてしまうと言う印象があります。

前半はここまで! 後半に続きます!

◇NPO輝け元気!の無料相談

◇所在地:横浜市青葉区美しが丘西

◇最寄り駅:東急田園都市線(横浜市営地下鉄)あざみ野駅または小田急線新百合ヶ丘駅

◇遠方の方には、オンライン相談(電話相談)もあります。

◇メール申し込み:daimon@kagayake.org

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

*