不登校になりやすい性格ってあるの?=その1=

数多くの不登校の子ども達と15年も接してくると、不登校になりやすい「性格」というのがあることに気が付きます。

ホ~ナイという心理学者が人の性格をまず大雑把に①自己主張型、②協調型、③遊離型に分け、さらにこの3タイプそれぞれをまた三つのタイプに分類して、合計で9つの性格タイプで人間の性格を考えています。

自己主張型は他者との関係で「自己主張」が出来る性格です。そして協調型というのは他者との関係で「協調」をベースにおいている性格です。最後に、他者との関係で「自分と他者との間に一線を引く、あるいは一定の距離を取るタイプ」を遊離型と呼んでいます。

心理的な不登校(不登校マップでB群とC群)は、その子が体験していく出来事との関係で起こるのであって、その子の「性格」とは関係がないと考えると、その子の不登校の真の原因を掴むことが出来なくなりますし、当然、その子への対処の仕方も間違ってしまうことになります。

つまり、不登校というのは、ほとんど同じような出来事を体験したのに、ある性格の子は非常に大きなショックを受けて不登校になり、別の性格を持った子はこともなげにその体験を乗り越えていくということなのです。

皆さんも容易に想像がつくと思うのですが、「不登校になりやすい性格」は3番目の「遊離型」に一番多いです。この遊離型の中でも特に、「思考回路型」と言われる性格タイプの子が不登校になりやすいと感じます。

どういう子どもかというと、たとえば、幼稚園/保育園時代から、みんなが一緒に遊んでいる輪に加わらずに、ひとり遊びが多い子ども。先生に呼ばれて遊びの輪に加わるけれども、いつの間にかまた一人になって遊んでいます。だから寂しいかというとそうではなく、友達との交流にあまり関心が無いようにも見えます。

自閉症の子の特徴を言っているのではありません。障害ではなく、健常な子供の性格分類の中にこういう性格タイプがあるという話なのです。このタイプは集団と自分との間に一線を引いているのです。概して知能が高く特に論理的な思考力に優れているので「思考回路型性格タイプ」と私は呼んでいます。

興味関心をひくものに強いこだわりを持つのですが、その興味関心というのが「人間」や「友達」に向くということが少ないのです。そして、九歳十歳ともなると、自分は神経質で人と打ち解けることが難しいと感じ始めます。周りから見ると、いつも孤立して風変わりに見えるかもしれません。

 

このタイプは鋭く知的です。好奇心に富み洞察力や観察力に優れていて、注意深い性格です。集中力があり、複雑な考えや技能を発展させていく力があります。

皆さんの周りにもいませんか?普段は静かであまりものを言わないけれども、意見を言う時は他の人たちが言っているのと同じような考えを述べるのではなく、違った角度からそこまでの議論に出なかった視点から意見を言います。反対者があっても決して感情的にならず、自分の意見を支える根拠を理路整然と述べるので説得力があります。

また、独立心と革新性を併せ持ち、思考や創造した概念に没頭することが出来ます。

したがって、この性格タイプは「考える人」であり、同時に鋭い「観察者」でもあります。そして、往々にして「ラディカル」な人となり、「革新者」になります。

どんな分野でも自分が興味と関心を持ちさえすれば、「専門家」になりますし、「スペシャリスト」として高度に技能的な力を身につけることが出来ます。

女子よりも男子に多いように感じます。また、文系か理系かというとこの性格タイプには理系の人が多いようです。物理学の天才で、相対性理論を発見したアインシュタインはこの性格タイプだったと言われます。ただ、少ないとはいえ文系の人もいます。政治家で元首相の小泉純一郎はこの性格タイプではないかと思います。まったく新しい視点から政治改革に挑み良かれ悪しかれ政治の流れを大きく変えました。

この性格タイプは、未来を見通す先駆者になり得ます。往々にして時代に先駆け、世界を全く新しい角度でみることが出来ます。

 

しかし、不健全で悪い状態に落ち込むと、現実から来る痛みや恐れから自分自身を守ることが出来ないと感じます。この恐れが酷くなると、現実から逃れるために引きこもり、さらに病的なところまで落ちると、現実からの刺激に一切反応しなくなります。

この性格タイプは、その実力にもかかわらず、自分が現実に対する適応力を欠いていて、人と関わりすぎると消耗して破滅してしまうと感じます。これは自分が住んでいる世界に対するかなりはっきりした恐れとして感じられ、往々にして自分がこの恐れにとらわれていることを自覚しています。

その結果、この現実世界と人(他者)に関わっていくためには、「もっと力や知識を身につけ、ため込まなければならない」という思い込みにとらわれてしまうことが少なくありません。子どもであれば、お小遣いやお年玉をため込んで使わない、出来るだけ貯金しておきたいと感じます。

この性格タイプは、心の状態が悪くなると、世間から逃れ、個人的な欲求や要求をあまり主張しないという反応を見せがちです。自分があまり多くのものを要求されたら困るので、自分のほうからも多くのものを要求しないように、無意識に自制しているのです。

言い換えると、自分がもろく頼りないので、この世界で安全に生きていけないと無意識に信じているのです。

唯一安全な場所は頭の中にあるため、世界に参加する準備が整うまで、自分の生存に役立ちそうなものは何でもため込もうとします。お金にしろ知識にしろ技術にしろ、それを手に入れるまでは現実の世界から退いていたいと願うのです。

この性格タイプはいつも「心配と不安」を抱え込んでいます。別の言い方をするなら、この性格タイプは「いま、ここ」で起きていることに抵抗するのです。この性格タイプは現在に抵抗しますが、かといって過去を美化して懐かしんだりすることは少ないです。逆に過去を歪めたり矮小化して、嫌悪したり後悔したりということも少ないです。

この性格タイプが常に気にかけているのは「将来」のことです。

このように自分に問いかけているようなものです。

「自分に何が起きるのだろう?どうやって生きればいいのだろう?どうやったら悪いことが起きないように心構え出来るのだろう?人生をどう進んでいったらいいのだろう?色々なことにどう対処していったらいいのだろう?」

 

この性格タイプの思春期、つまり中学高校時代を考えてみましょう。

小学校の成績が良いため親としては難関の中高一貫校に進ませたいと思う場合が多いようです。しかし、一定のレベル以上に刈り揃えられた競争集団の中で、生来の「離人癖(人から離れて一定の距離を保ちたい)」が次第に強まり、ちょっとした挫折で不登校になる場合が少なくないのです。

もし我が子がこの性格タイプだと感じたら、親は意識して雑多な人間社会で多様な経験を積ませる努力した方が良いでしょう。

この性格タイプは頭が良い一方で、運動が苦手な場合が少なくありません。幼い頃から自然に親しむ、集団生活に慣れさせる、共同作業で成功体験させる、継続してスポーツをやらせるなどしたいところですね。

世界には雑多な人間がおり、それぞれに得意不得意があるという事を学ばせたいのです。勉強さえ出来ればそれで良いと思わせるのがいちばん危ないです。

日本に数十万人いると言われる「ひきこもり」には、このタイプの人が非常に多いように感じます。

 

今回は、「思考回路型性格タイプ」を扱いました。

次回は、「自分らしさにこだわり抜く性格タイプ」です。

お楽しみに!

  • カテゴリー: 不登校 |
  • 投稿日: 2015年01月18日 |

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