機能不全家庭を生き延びたAC!第3回「ピエロ(道化師)」

=「ピエロ(道化師)」=

前回の「リトルナース(小さな看護者)」に続いて、今回は、「ピエロ(道化師)」を扱います。機能不全家庭の過酷さを耐え忍んで、少しでも生きやすくするために、子どもは様々な役柄を演じます。ご自分の子供時代をぜひ思い起こしてください。手繰り寄せる記憶は、あなたのお子さんを理解する手がかりになるかもしれません。

=「親のペットのような存在?!」=

マスコットとかクラウンとか呼ばれることもあります。「ひょうきんもの」を演じ、おどけて家族内の緊張を和らげようとします。問題が深刻化しないように、そして、素知らぬ顔で問題を分散させるために、面白おかしく道化役を演じます。常に細心の注意を払い家族の衝突を未然に防ごうとしています。外見とは裏腹に人知れず孤独感に苛まれていますが、「親のペットのような存在」を演じて生き残りを図るのです。

=もともとは「人をもてなすエンターテイナー」=

このタイプは何にでも熱中する多趣味で多才な性格です。本来は楽観的で好奇心や冒険心に富み、何事に付け先を見越して周囲の状況をコントロールすることが得意です。動きながら周りを巻き込み、そこからさらなるアイデアや楽しみを創造していきます。インテリや勉強好きでは必ずしもありませんが、往々にして極めて知的で、様々な分野に詳しく、おまけに弁が立ちます。思考のスピードが速いため、アイデアを次から次に繰り出したり、一見乱雑に散らばった情報を、一繋がりの意味あるものに読み解いたりすることに秀でています。サービス精神が旺盛で、自分の能力を駆使して人を楽しませようとします。言わば、「人をもてなすエンターテイナー」なのです。

=注意をそらそうとする!=

家族内に不穏な空気が漂い始めると、それが明瞭な形となって衝突を招いたり、暴力を引き起こしたりしないように、注意をそらそうと必死に動きます。落ち着きの無い行動を繰り返し、多くの場合、その行動の意図は家族にも分かりません。しかし、このタイプの子どもは、家族間で衝突や暴力の原因になりそうなものを瞬間的に察知し、親の注意や関心をその原因からそらすために、突拍子もない言動を取っているのです。その意図が隠されているため、親は「面白い子だ」と肯定的に思っている場合もありますが、「なんて落ち着きのない子だ」「考えの足りない子だ」等と批判的に見ている場合が圧倒的に多いです。しかし、実際には、家族ひとりひとりの機嫌に敏感で、家族が何を考えているか驚くほど正確に見抜いています。言葉を代えれば、家庭内の衝突や暴力を怖れて、常に情緒不安を抱えていると言って良いでしょう。

=ヒステリーを起こす寸前?=

家族の緊張を和らげようとするため、常日頃から家族の笑いと関心の対象になろうとします。それがうまく行かない時には、過度に可愛く子どもっぽい自分をアピールします。「自分は弱くて誰かの保護が必要です!」と叫んでいるように見える時さえあります。こういう時には、実はヒステリーを起こす寸前まで追い詰められていることが少なくありません。

=自己肯定感をそぎ落とされていく!=

対外的に、人当たりが良く人を楽しませる才能に富んでいますが、半面、自己評価は極度に低く、自己愛に欠けています。何故でしょうか?この性格タイプはもともと自己主張が出来るタイプなのですが、自分が家庭の平和の為に、いつも心にもないピエロを演じていることを内心、恥じているからなのです。頭の回転が速くユーモアにも優れるので、まわりの賞賛を得やすいのですが、それとは裏腹に自己嫌悪を抱き、「自分が好きかって?こんな自分が好きな訳ないだろ」と心の中で呟いています。

=かけがえのない家庭(家族)=

このタイプがピエロ(道化師)を演じる理由は、自分にとってかけがえのない家庭(家族)を奪われることを恐れるからです。しかし、その努力にもかかわらず家庭は崩壊し、ピエロ(道化師)はその痛みに苛(サイナ)まれます。皮肉なことですが、このタイプはピエロとしての自分の言動の「虚(ムナ)しさ」に無意識に気がついているのですが、無意味だからと言って演技を放棄する事が出来ません。それは、親の理不尽さに立ち向かうにはあまりにも幼く、力がないからです。時として、ピエロは急に自らのコントロールを失い、幼くしてヒステリー性の行動と深い鬱(ウツ)が交互に現れる様になります。

次回は、「ロスト・ワン(迷子)」を解説していきます。

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