機能不全家庭で育つAC!第1回「ヒーロー(ヒロイン)」

前回、機能不全家庭は続々とAC(アダルトチルドレン)を生み出すこと、しかし、ACとなった方々は必ずしも不登校にはなっていないこと、そして、ACの方々が家庭を持ち子どもを設けると、その子どもが不登校になり易いことなどを説明してきました。

=乗り越えたい辛く苦しい思い出=

さて今回は、機能不全家庭(家族)に話を戻して、子どもたちがどのように機能不全家庭を生き抜いて、AC(アダルトチルドレン)となったのかを見て行きたいと思います。もしあなたが自分はACかも知れないと思ったら、ぜひ、今回以降6回のシリーズをお読み頂いて、ご自分が育った家庭のことを思い返して頂きたいと思います。辛い思い出をまた噛みしめることになるかも知れませんが、ACを克服しようとすると避けては通れない道だと思われます。ぜひ、勇気を持って、ご自分に対して共感しながら、読み進めて頂ければと思います。

=子どもは必死で「劇」を演じている=

機能不全家庭の過酷さに向き合うにも、その子どもの性格に依って色々な向き合い方があります。つまり、子どもの性格によって家庭内で演じる「役回り」が違って来るのです。子どもは自分が演じやすい役を演じることによって、その過酷さを耐え忍ぼうとするのです。どんな役を演じるかと言うと、まるで「劇」のようですが、実はある意味、子どもは必死で「劇」を演じているということが出来ます。

=第1回「ヒーロー(ヒロイン)」=

ヒーロー(ヒロイン)になって生き延びようとするのは、私が「正義を実現したい理想主義者」と呼んでいる性格タイプの子に多いです。このタイプは、世の中の不正や不平等に敏感です。自分がルールを守るのはもちろん、人にもルールを守ってもらいたいと感じます。そうしないと世の中で正義が実現されることはないと信じているからです。自分の中にいつも理想があって、その理想の実現のためにまじめに努力します。人にも厳しいですが、何より自分に対して厳しく、完全主義に陥りやすいと言えます。「まあまあだ、これで良い」とは考えず、「これではダメだ、今さら仕方ないが、とても満足できない」と考えるのです。

=僕が(私が)守らなければならない!=

こういう性格の子にとっては、親が酒乱であったり、暴力が日常茶飯事であったりすることには、激しい怒りを感じます。ところが、父親の暴力と戦ったり押さえたり出来るほどの体力はなく無力感に打ちのめされます。怒りが痛みや悲しみとして蓄積します。それでも、なんとか母親や兄弟姉妹を守らなければいけないと感じます。必死に抗議したり、親をなじったり、そんな抵抗によって暴力が自分に向かうことも厭(イト)いません。

=家族のバランスを保とうとする!=

それほどの暴力にさらされないときには、このタイプは、「英雄」というとちょっと大げさですが、「優等生」「良い子」「偉い子」を演じることによって、その家庭で生き延びようとします。自分が「優秀な子」であり「しっかりした子」であることによって、親から褒められるように振る舞います。自分がこのように評価されることで両親を喜ばせ、その見返りに家庭を少しでも生きやすい安定した場所にしようと必死に演じます。特に母親から頼られ信頼される事によって家族のバランスを保とうとするのです。

=さらに上を期待されてしまう?!=

しかし、しばらくの間、家庭の平和を維持することに成功しても、「これではダメだ、もっと完璧にやり続けないと、すぐまた暴力と破滅がやってくる」と思うので決して安心できません。そして、母親からはよりいっそう頼られて、更に上を期待されてしまう為、気持ちが休まる暇がありません。その責任感の故に、いつも「自分は完璧にやり遂げないといけない」、「完全な結果を出さないといけない」と思い詰めているのです。

=評価基準を持てない!=

結局のところ、自分で自分を正当に評価することが元々苦手なところへ持ってきて、評価はいつも親がする形になるので、逃げようがないのです。自分の中に自分を評価する基準がないのに、あるいはその基準を持てないからこそ、正義感と完全主義の塊であるかのように見えます。ですから、結果としてやってくるのは、不全感「十分にやることが出来なかった!」や失敗感「また失敗してしまった!」のみで、結局のところ安心できないまま常に苦しみ続けることになります。

=幼くして老人のよう!=

この苦しみに耐え続けるために、ヒーロー(ヒロイン)は早熟であり、幼くして老人のような印象を与えることがあります。ヒーロー(ヒロイン)はこの意味で「小さな大人」になって生き残ろうとするのです。

 

第2回「リトル ナース(小さな看護士)」に続きます。

 

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