不登校と性格タイプの不思議??

=きっかけは阪神淡路大震災=

不登校になりやすい「性格」というのがあることに朧気(オボロゲ)ながら気が付いたのは、1995年の阪神淡路大震災で被災した子供たちのその後を追ったテレビ番組でした。もう20年以上経ちますのではっきりした記憶がないのですが、震災自体は6千人以上もの方が亡くなった大災害でした。番組では、震災から1年以上経ったにもかかわらず、ショック状態から抜け出せない子どもが取材されていて、同じ体験をした他二人の兄弟は元気だということが母親の口から語られていました。この時、子どもが持っている本来の性格の違いで、同じ体験をしても心が受けるダメージは違うのではないかと思ったのでした。

今から考えると自分の鈍さに驚くのですが、私に限らず、それくらい不登校の理解というのは進んでいなかったのです。

=アメリカ同時多発テロで確信が!=

当時、私はサラリーマンでしたし、問題を掘り下げることもなくボランティアとして細々と不登校児のケアを続けていたのですが、NPOを立ち上げた翌年の2001年9月11日にアメリカ同時多発テロが起こり、その後数年にわたり、いろいろな雑誌や書籍でPTSD(心的外傷後ストレス障害)に見舞われた方々のレポートを読んで、性格と不登校とは大きな関連があるに違いないと思うようになりました。

=不安や脅威に対処するやり方に大きな違いが!=

この頃、ドイツの精神科医でカレン・ホーナイという人が書いた「現代の神経症的人格」という本を偶然読んで、書かれている性格分類に衝撃を受けました。というのも、この本が書かれたのは70年以上も前のことだからです。今でこそ様々な性格分類法がありますが、当時は「性格」という概念自体が確立されていなかった時代で、それにもかかわらず、人が感じる「不安」や「脅威」に対処するやり方として大きな三つの分類をもとに、合計で九つの性格タイプを生き生きと描き出していることが大きな驚きでした。

=大きな三つの分類=

大きな三つの分類とは、人の性格をまず大雑把に①自己主張型、②協調型、③遊離型に分けて考えます。

①の「自己主張型」は、「不安や脅威」を感じると相手に対して「攻撃的」になります。ですから、人との関係でまずは「自己主張」することが基本になります。

②の「協調型」というのは、「不安や脅威」に対して「交渉的」になります。ですから、人との関係では「協調(≒やり取り)」することが基本になります。

③の「遊離型」というのは、「不安や脅威」に対して「逃避的」になります。ですから、人との関係では「自分と人との間に一線を引く、あるいは一定の距離を取る」ことが基本になります。

=不登校児の7割が「遊離型」に分類される?!=

この大きな三つの分類を使って私がそれまでにケアした子ども達、約100人を分類してみたところ、なんと74人、全体の四分の三の人が「遊離型」であることが分かったのでした。これが、2003年の事です。その後、2017年までに私のところに見えた新たなクライアント(小中高校生)129名の性格タイプを調べたところ、遊離型が92名に達しました。率にして7割強です。

=極端に多い7割という数字!=

①自己主張型、②協調型、③遊離型がそれぞれ世の中全体の何パーセントを占めるのかは分からないので、③遊離型には不登校が「どの程度に」多いか少ないかは言えないです。つまり、分母が分からないからです。逆に、「不登校の子には性格タイプとして③の遊離型が多い」としか言えないのですが、それにしても、7割前後の数字というのは極端に多いとは言えないでしょうか。

=子どもの問題か?親の問題か?=

不登校の原因というのは、病気や心理的な問題、あるいは発達障害があって学校や人間関係に馴染めないなど、子ども本人が問題を抱えている場合が多いですが、他方では、親と子の関係に養育上の困難があって、子どもが不登校と言う形で自分にとっての問題を解決しようとしているという場合が多いです。しかし、その中には、もっぱら親が問題を抱えているという場合も少なくないのです。

=親子のそれぞれの性格が接着剤になっている?!=

その上、原因は一つではなくて、たいてい二つ三つ、あるいはそれ以上の問題が絡まり合っています。そして、この絡まり合いの中で、まるで接着剤のように問題をくっ付けて「不登校」という形にしているのが、子どもの持っている「性格」と親の持っている「性格」だと言えると思います。

=親のカウンセリングが必要だった!=

ですから、面白いもので、親子それぞれが持っている性格タイプが分かると、絡まり合っている問題がはっきり見えてきたりします。逆に、性格タイプが分からないと、問題がはっきりとは見えてこないため、いつまで経っても原因が分からず、有効な対処が出来なくて、解決に長い時間がかかってしまう事も少なくありません。具体的には、子どもが問題を抱えていると思ってカウンセリングを必死に続けてもらちが明かず、親のカウンセリングに切り替えたら間もなく子どもが学校に通い始めた、と言うことが実際に起こるのです。

9つの「性格タイプ」=

さて、三つの大きな分類が更にどのように9つの性格タイプに分かれるか、見て行きましょう。

①「自己主張型」: 不安や脅威」を感じると相手に対して「攻撃的」になります。

「上昇志向の目立ちたがり屋」

「人をもてなすエンターテイナー」

「自己主張する仕切りたがり屋」 ← 不登校児の親に多い性格タイプ

②協調型:「不安や脅威」に対して「交渉的」になります。

「正義を実現したい理想主義者」

「自己犠牲を厭わない献身の人」 ← 不登校児の親に多い性格タイプ

「何かに忠誠を誓いたい懐疑の人」

③遊離型:「不安や脅威」に対して「逃避的」になります。

※下記三タイプともに、不登校の子どもに多い性格タイプです。

「人がうっとうしい思考回路型」 ← 将来を怖れ引きこもる事で不安や脅威に対処する

「心の中で遊ぶ平和主義者」 ← 現実を見て見ない振りをする事で不安や脅威に対処する

「自分らしさにこだわる個性派」 ← 「平凡だ!」と人を内心で軽蔑する事で不安や脅威に対処する

=親が自分の性格タイプを知る事の大切さ=

子どもの性格タイプを理解すること以上に、親としての自分の性格タイプを知る事が大切です。不登校と言う問題を解決するには、多かれ少なかれ親子の関係を変えていく必要があるからです。そして、親子関係を変えるには、自分の欠点や弱点を子どもよりも親が先に知っていないとなりません。子どもの欠点や弱点を矯正したり克服させたりするには大変な手間暇がかかる上に、とてもリスキーです。その前に、まずは、親が自分の欠点や弱点を治す方がはるかに安全だし効果的です。こんなことも考えながら、日々、子どもに向き合いたいものですね。

以上

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