長引いたら見立て違いを疑ってみましょう!(不登校マップ)

=また改めて「不登校マップ」を拡げてみましょう!=

子どもが不登校になると、親としてどうしたらいいのか分からず、誰もが途方に暮れてしまうのではないでしょうか。

実際、こうして20年以上も不登校に関わって来た私でも、「はてさて、この子の不登校は何が原因なのだろう?」、そして「いったいどのような対処策を取ったらいいのだろう?」と迷うことが少なくないのですから、親御さんが途方に暮れてしまうのは全くもって無理もない事だと思います。

=不登校がどこから始まっているのか現在位置を確認したい!=

今日は、あらためて不登校の地図を広げて、「今あなたのお子さんと親であるあなたがどこにいるのか」、現在位置を確認することに致しましょう。つまり、我が子の不登校がどこから始まっているのかという問題です。

当会では、不登校には何か原因があって、子どもの「元気の泉」が涸れてしまったと考えます。そして、その原因と対処の仕方によって、地図を色分けして考えます。

たとえば、気持ちの問題であれば親の対応だけで治る場合もあるのですが、もし病気だったら当然、医療機関にかかる必要があります。この辺りを無視して、放っておけば自然と治ると言うのも、何かをホニャララすれば治ると信じるのも、とても危ないのです。

6色に色分けされる不登校= 

 A群 病気による不登校

地図の左端に来るのが「病気による不登校」です。これをA群と呼びましょう。

(統合失調症)

100人に一人くらい発症するのが「統合失調症」です。芥川龍之介が晩年かかったのが「妄想型」の統合失調症です。珍しいですが、ある動作の途中で不自然に体が止まってしまったりするのが「緊張型」の統合失調症と呼ばれます。そして、不登校というと「破瓜(ハカ)型」と言われる統合失調症が圧倒的に多いと言われます。破瓜型というのは奇妙なネーミングですが、意味は「思春期型」というくらいのものです。一学年3クラスで120名くらいの中学校や高校では、一人くらい発症しておかしくない病気です。決して珍しい病気ではありません。

病気の始まりには、言葉や感情が乏しくなったり、逆に独り言は増えたり、不眠を訴えたり、何もしないで起きている時間が増えたり、日常的で当たり前のことをやるにも考え込んでしまったり、疑い深くなったりという様々な変化があるのですが、家族には子どもの性格が変わったように感じる場合が多いです。

(子どものうつ病)

やはり左側の「病気による不登校」に入るのが、「子どものうつ病」です。小児うつ病、思春期うつ病と大別されますが、実は私(大門隆)も高校2年から3年にかけてかかりました。大学で精神病理学の授業を受けていて、教科書にまるで自分の高校時代が書かれているのを見て驚きました。ああ、あの時自分は「思春期うつ病」だったのだと後付けで理解したのでした!おやおや(笑)

A群は「こころの病」ですから、病院で治療を受けることが必要です。特に、統合失調症は治療を受けないと進行してしまう病気で、治療が遅くなると完治までに長い時間がかかったり、後遺症を残したりするので注意が必要です。

B群 半分病気の不登校

それから左に近いところ、つまり「病気による不登校」のすぐ右側に「半分病気の不登校」が来ます。これをB群と呼びましょう。

(起立性調節障害)

具体的にはまず「起立性調節障害」です。これは最初のうち親から見ると「朝起きられない」だけだと感じられますが、次第に頭痛、めまい、ふらつきと重症化していき、ついに何日も寝続けるような事態になる場合があります。

(過敏性腸症候群)

次に、「過敏性腸症候群」があります。お腹の調子が悪くなるのですが、下痢型だったり、便秘型だったり、ガス型だったり、いろいろです。

この二つは、自律神経系の不調、つまり「病気」とされていますが、実は良く効く薬というのがありません。でも、当会で教えているプログラムを親から子どもへ実践して頂くと、かなり良くなる場合が多いので、どちらも心理的な原因があって発症する病気だと考えています。ですから、輝け元気!では「半分病気の不登校」は、「病気」ではなく「心理的な不登校」の中に入れて対応するようにしています。

C群 心理的な不登校

真ん中に来るのが「心理的な不登校」ですが、これをC群と呼びましょう。

ストレス障害、愛情飢餓感、イジメ、さまざまな精神的な打撃(ショック)、等々で起きる不登校で、数としては不登校全体の中でいちばん大きな割合を占めています。

輝け元気!では「命の泉が涸れ果てる」という表現を良く使いますが、この表現がいちばん当てはまるのがこのC群の不登校と言えるでしょう。文字通り、普通ならこんこんと湧き出てくる「元気」が全く出てこなくなって不登校になります。

注意しなければいけないのは、たとえば、地震や事故などに見舞われた子どもが、ショックでみんな不登校になるわけではないということです。ある子は心に大きな打撃を受けて不登校になるのに、他方では同じ体験をしたにもかかわらず、ぴんぴんしている子もいるということです。

長年の経験から輝け元気!は「不登校になりやすい性格」があることを突き止めました。要するに、性格的に「命の泉が涸れやすい子ども」がいるのです。

もちろん体験した出来事の悲惨さや過酷さで、どのような性格タイプの子どもも不登校になる可能性はあるのですが、明らかに「不登校になりやすい性格」が三つあることが分かっています。

 D群 親の過保護または過干渉による不登校

次に、「親の子どもへの極端な過保護または過干渉による不登校」があります。これをD群と呼びましょう。真ん中より少し右側に位置します。本来はC群の「心理的な不登校」に入るのですが、同じ対処策が取れないので、少し右側で別の分類をしています。

(過干渉)

まず、「過干渉」型は、「親が子どもを完全に支配し子どもは親の支配に依存しているため自立できない場合」です。親が何でも指示や命令で子どもを動かしてしまうため、子どもは自分のことを自分でやるという判断力と自立心を失ってしまいます。学校など対人関係能力が必要な場では、些細なことでつまずき、簡単に不登校になります。ある意味で子が親の奴隷であるかのように見えます。

(過保護)

もう一つは「過保護」型で、親が子どもの要求を何でも聞いてしまうため、これも「自立心」を育てることが出来なくなる場合です。例えば、小学校3年生になるのに、親がスプーンで食事を口に運んで食べさせないと「辛すぎて何も食べられない」と訴える、お風呂に入っても「辛すぎて自分では体を洗えない」と訴える、などが典型的な状況です。親がせっかくカウンセリングに来ても「帰って来て」と子どもから電話があると、もう居ても立ってもいられなくなり、親はカウンセリングどころではありません。家庭では100%ワガママが通用するので、子どもは学校へ行って皆と同じように過ごすことが「辛すぎて出来ない」という事になります。ある意味で親が子の奴隷であるかのように見えます。

過干渉型も過保護型も親御さんが心理的な問題を抱えている場合が少なくありません。冒頭で、C群と同じ対処策が取れないと書きましたのは、「親の心理的な問題」を解決しないと、当会のプログラムを子どもさんに実践して頂くことが難しいのです。また、子どもへのカウンセリングが、それ単独では効き目がありません。ある意味で、病気や障害による不登校よりもずっと難しい不登校だと言えます。

 

途中ですが、ここで前半を終了します。後半をお楽しみに!

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  • カテゴリー: 不登校 |
  • 投稿日: 2018年08月30日 |

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