不登校にいちばん多い「人がうっとうしい思考回路型」

ここは前回の投稿の復習になります。

=性格と不登校とは関係ないと考えると間違ってしまう!=

「不登校は、その子が体験していく出来事との関係で起こるのであって、その子の『性格』とは関係がない」と考えると、その子の不登校の真の原因を掴むことが出来なくなりますし、当然、その子への対処の仕方も間違ってしまうことになります。

=過酷な体験をこともなげに乗り越えて行く子どもも!=

つまり、不登校というのは、ほとんど同じような出来事を体験したのに、ある性格の子は非常に大きなショックを受けて不登校になり、別の性格を持った子はこともなげにその体験を乗り越えていくということなのです。

=遊離型に多い不登校=

「不登校になりやすい性格」は三つの大分類の「遊離型」にいちばん多いです。この遊離型の中でも特に、「人がうっとうしい思考回路型」と言われる性格タイプの子が不登校になりやすいです。そして、日本に数十万人いると言われる「ひきこもり」には、このタイプの人が非常に多いように感じます。実感値ですが、引きこもりの方10人に会いに行くと7人くらいの方がこの性格タイプだと思われるほどです。

 

さあ、ここからが遊離型に属する性格タイプの分析になります。

=「人がうっとうしい思考回路型」とは?=

どういう子どもかというと、たとえば、幼稚園/保育園時代から、みんなが一緒に遊んでいる輪に加わらずに、ひとり遊びが多い子ども。先生に呼ばれて遊びの輪に加わるけれども、いつの間にかまた一人になって遊んでいます。だから寂しいかというとそうではなく、友達との交流にあまり関心が無いように見えます。見方によっては、人とのやりとりが鬱陶(ウットウ)しく面倒臭い、一緒に遊ぶよりも一人で遊んだほうが楽しい、と考えているように見えるかもしれません。

=論理的な思考力に優れる=

自閉症の子の特徴を言っているのではありません。障害ではなく、健常な子供の性格分類の中にこういう性格タイプがあるという話なのです。このタイプは人と自分との間に一線を引いているのです。概して知能が高く、特に論理的な思考力に優れているので「人がうっとうしい思考回路型」と私は呼んでいます。

=孤立して風変りに見えることも=

興味関心をひくものに強いこだわりを持つのですが、その興味関心というのが「人」や「友達」に向くということが少ないのです。そして、九歳十歳ともなると、自分は神経質で人と打ち解けることが難しいと感じ始めます。周りから見ると、いつも孤立して風変わりに見えるかもしれません。

=強いこだわりが!=

このタイプは鋭く知的です。好奇心に富み洞察力や観察力に優れていて、注意深い性格です。集中力があり、複雑な考えや技能を発展させていく力があります。それは物事に強いこだわりがあるからなのです。

=人とは違う視点から物事を見る=

皆さんの周りにもいませんか?普段は静かであまりものを言わないけれども、意見を言う時は他の人たちが言っているのと同じような考えを述べるのではなく、違った角度から、そこまでの議論に出なかった視点から意見を言います。反対者があっても決して感情的にならず、自分の意見を支える根拠を理路整然と述べるので説得力があります。

=馬鹿どもの相手にはならない=

逆に言えば、感情的になるのは面倒臭いし正しい判断から遠ざかるばかりだと思っているのです。ですからこのタイプは、人から感情的に攻撃されても、極力、相手にならないように努めます。相手が感情的になればなるほど、「自分は冷静でいなければ、ますます理性的にならなければ」と感じるのです。

=改革する人になる=

このように、独立心と革新性を併せ持ち、思考や創造した概念に没頭することが出来ます。したがって、この性格タイプは「考える人」であり、同時に、鋭い「観察者」でもあります。そして、往々にして「ラディカル(急進的)」な人となり、「改革者」になります。どんな分野でも自分が興味と関心を持ちさえすれば、「専門家」になりますし、「スペシャリスト」として高度に技能的な力を身につけることが出来ます。

=アインシュタインはこのタイプ?=

女子よりも男子にやや多いように感じます。また、文系か理系かというとこの性格タイプには理系の人が多いようです。物理学の天才で、革命的な「相対性理論」を発見し、数々の物理の謎を解明したアインシュタインはこの性格タイプだったと言われます。

=政治の流れを大きく変えた小泉純一郎も?!=

ただ、少ないとはいえ文系の人もいます。政治家で元首相の小泉純一郎はこの性格タイプではないかと思います。まったく新しい視点から政治改革に挑み、良かれ悪しかれ政治の流れを大きく変えました。あの「劇場型」政治手法に隠れてはっきり見えませんが、個人の生活においてはクラッシック音楽、特にイタリアオペラに傾倒し孤独な時間を愛する人だと言われています。現在も、自民党の中では少数意見に過ぎない「原発廃止」を、強く主張し続けています。

=未来を見通す先駆者=

この性格タイプは、未来を見通す先駆者になり得ます。往々にして時代に先駆け、世界を全く新しい角度でみることが出来ます。

=自信を失うと人や世の中に背を向ける?!=

しかし、不健全で悪い状態に落ち込むと、現実から来る痛みや恐れから自分自身を守ることが出来ないと感じます。人や世の中に関わることがとても怖くなるのです。この恐れが酷くなると、現実から逃れるために引きこもり、さらに病的なところまで落ちると、現実からの刺激に一切反応しなくなります。

=破滅するという恐れに捕らわれやすい=

この性格タイプは、その実力にもかかわらず、自分が現実に対する適応力を欠いていて、人と関わりすぎると消耗して破滅してしまうと感じます。これは自分が住んでいる世界に対するかなりはっきりした「恐れ」として感じられ、往々にして自分がこの恐れにとらわれていることを自覚しています。

=強い「思い込み」=

その結果、この現実世界と人(他者)に関わっていくためには、「もっと力や知識を身につけ、ため込まなければならない」という強い思い込みにとらわれてしまうことが少なくありません。子どもであれば、お小遣いやお年玉をため込んで使わない、出来るだけ貯金しておきたいと感じます。

=多くのものを要求されたら困る!!=

この性格タイプは、心の状態が悪くなると、世間から逃れ、個人的な欲求や要求をあまり主張しないという反応を見せがちです。自分があまり多くのものを要求されたら困るので、自分のほうからも親に多くのものを要求しないように、無意識に自制しているのです。

=この世界で安全に生きていけない?!=

言い換えると、自分がもろく頼りないので、この世界で安全に生きていけないと無意識に信じているのです。

=旅支度ばかりしていて出発できない旅人=

唯一安全な場所は頭の中にあるため、世界に参加する準備が整うまで、自分の生存に役立ちそうなものは何でもため込もうとします。お金にしろ知識にしろ技術にしろ、それを手に入れるまでは現実の世界から退(シリゾ)いていたいと願うのです。

しかし、困るのは、いくらため込んでも、「よし、もうこれで大丈夫」と納得することが出来ないことです。旅支度ばかりしていて出発できない旅人に似ています。

=「いま、ここ」で起きていることから逃げたい!=

この性格タイプはいつも「心配と不安」を抱え込んでいます。別の言い方をするなら、この性格タイプは「いま、ここ」で起きていることに抵抗するのです。この性格タイプは現在に抵抗しますが、かといって過去を美化して懐かしんだりすることは少ないです。逆に過去を歪(ユガ)めたり矮小化(ワイショウカ)して、嫌悪(ケンオ)したり後悔したりということもありません。あくまでも、現在を拒否して、人や世の中とあまり関わろうとはしたくないのです。

=何を考えているのか周りはさっぱり分からない!=

この性格タイプが自信を失って常に気にかけているのは「将来」のことです。このように自分に問いかけているようなものです。

「自分に何が起きるのだろう?どうやって生きればいいのだろう?どうやったら悪いことが起きないように心構え出来るのだろう?人生をどう進んでいったらいいのだろう?色々なことにどう対処していったらいいのだろう?」

そしてこれらの疑問に対して、頭の中で延々と問答を繰り返します。親をはじめ周りからは、何を感じ何を考えているのかさっぱり分からないという事が少なくありません。もともと親とのコミュニケーションが少ないですから、親から見て「分かりにくい子ども」と言えば、このタイプが最右翼となります。

=中高一貫校で挫折することも?=

この性格タイプの思春期、つまり中学高校時代を考えてみましょう。小学校の成績が良いため親としては難関の中高一貫校に進ませたいと思う場合が多いようです。しかし、一定のレベル以上に刈り揃えられた競争集団の中で、生来の「離人癖(人から離れて一定の距離を保ちたい)」が次第に強まり、ちょっとした挫折で不登校になる場合が少なくないのです。

=理系女子はこのタイプが圧倒的に多い?!=

先ほどは女子よりも男子に多いと書きましたが、逆に、女子大学生で理系(物理系、化学系、数学系、IT系)の人と話すと、ほとんどの人がこの「人がうっとうしい思考回路型」ではないかと感じられて、いつも「ああ、この人もやっぱり!」と思わずにはいられません。

=運動が苦手?=

この性格タイプは頭が良い一方で、運動が苦手な場合が少なくありません。幼い頃から自然に親しむ、集団生活に慣れさせる、共同作業で成功体験させる、継続してスポーツをやらせるなどしたいところですね。自分には苦手分野があるという自覚は、このタイプの「救い」になる場合が少なくないのです。

=失敗経験こそ大切=

世界には様々な人間がおり、それぞれに得意不得意があるという事を学ばせたいですね!!勉強さえ出来ればそれで良いと思わせるのが、このタイプにはいちばん危ないです。もし勉強がダメだったら、自分には将来がないと考え易いからです。一番いけないのは、親が先回りして必ず成功できるように段取りをつけてしまう事です。成功するのが当たり前ということになれば、必然的に失敗を恐れるようになりますからね。

=このタイプは中高一貫校には向かない!?=

男子校も女子校も中高一貫校は今、少子化時代を迎えて、過激な「生き残り戦略」に晒されているところが少なくありません。①どう考えても過剰な(やりきれない)宿題、②教師による学校内カーストの形成(成績による差別化)、③成績下位者や不登校生の切り捨て、等々が横行し、このため生徒間や部活内でのいイジメも激化の一途を辿っています。「人がうっとうしい思考回路型」は、このような「学校ファシズム」に最も弱いタイプなのです。受験至上主義の中高一貫校は、どうしてもお勧めできないというのが偽らざる私の思いです。

=育みたい「失敗しても大丈夫」という安心感=

この性格タイプの子どもには、ぜひ「失敗しても大丈夫」という安心感を刷り込んで行きたいものです。そのためには、実際に失敗する経験が必要です。むしろ、勇気を出してチャレンジしたことを大いに褒めたいものですね。結果が失敗でも、それが人生の中で致命傷になる事はないという実感がこのタイプの安心感を育みます。

 

 

今回は、「人がうっとうしい思考回路型性格タイプ」を扱いました。

次回は、「心の中で遊ぶ平和主義者」です。お楽しみに!

以上

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