「不登校ではないけれど」(後編)

=現代日本で子どもが大人になることの難しさ=

こういう仕事を長いこと続けてきて私が感じるのは、この現代日本という時代に子どもが「大人」になることの難しさです。 子どもは「過渡期」の中でさんざんに迷い、自分を見つめることが出来ず、従って自分に取り組むこともままならぬ儘(ママ)に、友達からハブられ、そして虐められ、人間不信に陥り、友達や先生はおろか親ともコミュニケーションが取れず、不登校や社会的な不適応を引き起こします。 結局は、「自分とは何者か」とか「自分らしさとは何か」といういわゆる「自我同一性の獲得」が出来ないままに、歳だけは取っていく、その最悪の結果がニートであり、引きこもりです。

=ニートや引きこもりを絶対に防ぐ子育てはない!?=

さて、こういう負の可能性はどの子にも常にあるとして、私たち親はどのようにその可能性を未然に防ぐことが出来るでしょうか。

恐らくその答えは具体策の中には「ない」と言うことなのです。

=自分が幸せになる事ばかり考えている?時代=

輝け元気!に見える「親」を見ていると、子を思う親の気持ちとして「間違った親」というのは誰も居ません。 でも、その親が願っているのは、「家族の幸せ」「家庭の幸せ」「子どもの幸せ」そして、それが「自分の幸せ」だと言うことではないでしょうか。私はそうでしたし、妻もそうでした。 MM様もそうでしょうか? それとも、MM様は違いますか?

=苦しみに遭い痛みに会うことは必要!?=

私たち親は、我が子が苦しみに遭い痛みに会うことを怖れ、出来るだけそうならないように我が子を守っていますね。 しかし、子どもが大人になるためには「苦しみに遭い痛みに会うこと」は必要なことです。 ところが私たち親は、子どもがその苦しみや痛みを乗り越えていくだけの「力」を親として子どもに与えることが出来ているでしょうか? 逆に言えば、その「力」を与えることが出来ないので、我が子がそのような苦しみに遭い痛みに会うことから必死に守ろうとしてしまうのかも知れません。

=子どもが大人になるのが早かった時代=

たかだか一二世代前、7~80年前に親として生きた人は、子どもに「天皇陛下のために死ねる人間になれ」と教え、実際に「死んでこい」と戦場に送り出したのです。 信じられないようなことですが、実際に多くの若者が死んでいきました。 ただ、天皇陛下のために死んだ人よりも、親や妻や恋人や幼い我が子を思い死んだ人が多かったのではないでしょうか。 この時代の若者は大人になるのが早かったと私は信じています。 早かったし、同時にたいへんに多くの苦しみに遭い痛みに会ったに違いないと思っています。

=自分の命よりも大切なものがある!?=

政治的な話ではないので誤解しないで読んでいただきたいのですが、当時の親は我が子に「自分の命よりも大切なものがある」と教えたのではないかと思います。 それが天皇陛下だというならそこにはきっと色々な意見があると思うのですが、それが親や妻や恋人や我が子だと言うなら、それは正しい教えなのではないでしょうか。 自分が愛する「人」だけではなく、その人その人それぞれに大切な思いや信念(価値観)や信仰があって、それを守るために命を捨てるということには、誰しも多かれ少なかれ共感できるのではないでしょうか。 この意味で、生きると言うことの中には「自分の命よりも大切なものがある」という事ではないでしょうか。ある意味で、生きるという事は、その「大切なもの」の為に「犠牲になる」、あるいは、「犠牲になってもやむを得ない」という事ではないでしょうか。

=痛みや苦しみの中でしか見つからない?!=

ひるがえってこの時代を見直すとき、私たち親は我が子に、生きると言うことの中に「何か」自分の命よりも大切なものがある、それを探しなさい、と言えているでしょうか。 そして、それを見つけるために痛みに遭いなさい、苦しみに出会いなさいと言えているでしょうか。 自分の命よりも大切な何かというのは、痛みや苦しみの中でしか見つからないのではないでしょうか。

=苦しむ我が子の姿に耐えることが必要=

痛みと苦しみに満ちた混迷を抜け出して学校に帰っていく子ども達は、不思議と「誰かのために」とか「何かのために」ということをよく言います。こう言えるために、苦しむ我が子の姿に、歯を食いしばって耐えることも親として必要なのではないでしょうか。

MM様、

手始めに、「あなたは私の命よりも大切だ」と伝えることから始めてみては如何でしょう。

以上

  • カテゴリー: ご相談 |
  • 投稿日: 2018年05月17日 |

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