引きこもりの大学生だったEさんの手記から

=自宅での3年間引きこもり生活=

私は三年以上、自宅に引きこもっていました。

始めは大学三年の夏休み明けから。それ以来、大学には片手で数えられる回数しか登校せず、アルバイトにも行かなくなりました。

=留年から退学へ=

そのため卒業できず、一年留年。しかし留年したその年も登校できない状況が続き、退学しました。退学後は何もせず、家どころか自室からさえほとんど出ず、カーテンを引いた暗い室内に閉じこもっていました。

=大学でもある無視とイジメ=

外出できなくなったキッカケは、大学三年になってすぐに、いつも一緒にいたゼミの友人達から突然無視されるようになったこと、そして、その直後に小学校以来の大切な友人を突然亡くしたことです。

=悪夢で飛び起きる!=

それまでも眠りの浅い日が続いていましたが、その頃から食欲がなくなり、夜はなかなか眠れず、やっとうとうとしたと思っても悪夢を見て飛び起きるので、昼は眠くてたまらず、しだいに昼夜逆転の生活を送るようになりました。次第に体調も悪化の一途をたどりました。一日中頭痛と眩暈がし、貧血で倒れたり、何もしていなくても動悸がするなど……。気分が重く、何をしていても楽しくなくなり、生きている意味がわからない、死にたい、と切実に思いました。実際に自殺をしようとしたり、何回も身辺整理をしたりもしました。

=薬を飲むことが出来なかった!=

親の勧めで精神科にもかかりましたが、効果はありませんでした。というのも、「私の性格が悪いから、私が失敗ばかりするから、辛い思いをするのに、そんな自業自得の苦しみを、病気のせいにして楽になりたがっているのだ」と思うと、ますます自分に嫌悪を感じたからです。医師からもらった薬は一錠も飲めず、自分でどうにかしようと思っても、本当にどうにもなりませんでした。

=信じていなかったカウンセリング=

輝け元気!のホームページで大門さんを知り、何回かメールのやりとりをしましたが、カウンセリングで自分の苦しみが癒されるとは思っても見ませんでした。あの時どうして輝け元気!に行ってみようと思ったのか、そして、実際に行くことが出来たのか、思い返すととても不思議です。父との関係も非常に悪かったのですが、その父がカウンセリングに通う事を許してくれたことも、本当に不思議としか言いようがありません。

=何度も問い直された自分の気持ち=

カウンセリングの主な内容は、私の過去をたどり思い出した場面の中で私が何を感じたのかを確認する作業でした。小中学校時代、いじめや仲間外れにあったこと。両親が離婚して、父親と弟の三人で暮らしていた時のこと。そのとき、かつてのクラスメイトや家族に感じていた私の思い。

=ステレオタイプだった私の答え=

私は、私が考えていた感情をありのままに話したつもりだったのですが、大門さんには何度も「本当にそう?」と問いかけられて、たびたび戸惑いました。でも、そういう作業を繰り返すうちに、少しずつ「もしかしたら、違うのかしら。私は本当は、違う感情を抱いていたのかしら……」、そう疑問を持つようになりました。例えば、イジメられて悲しかったと言った時、悲しさの奥に何があったのか、心の奥底を見つめるように促されました。そうやって見つめ直してみると、自分の心の奥底には激しい憤りや、それを抑えようとする恥の気持ちが混在していることが見えてきました。要するに、私の答えは上っ面を撫でるだけのステレオタイプ※の答えに過ぎなかったのです。

※「典型的だね」という意味。 型にはまった、面白みのない、というような意味に使います。

=「君はそのままでいい」なんて言われなかった!=

そんな中で一番良かったのは、大門さんが私を一度も責めなかったこと。それから、建前の嘘をつかなかったこと。私は苦しんでもいいし、私が間違えることは当たり前なのだと言ってくれたけれど、そのままの私でいいなんて軽率なことは言われませんでした。

=何がいけないのか説明してくれた!=

私の何がいけないのかを、私が理解できるまで、ゆっくりと時間をかけて話し聞かせてくれたから、私も焦ったり自己嫌悪に陥ったりせずに話を聞くことができました。それに、私が話をしたくない時には無理やり話をさせようとせずに、大門さん自身の色々なお話を聞かせてくれましたので、どこへ行くにも緊張のし通しで人と話すなんてとんでもない、という状態の私でも、徐々にカウンセリングへ行くときの気持ちが楽になっていきました。

=「君は重いうつ病にかかっている」=

私は、自分がこんなに辛いのは、自分が生きることを赦されない、世界にとってイレギュラーな存在だからだと信じていました。私を取り巻く世界が正しくて、その中に居る自分が間違っている、そういう異常な存在なのだと思っていました。つまり、私の存在自体が私を苦しめているのに、外からの働きかけでそれが改善されるなんて信じられるはずがなかったのです。それを泣き叫びながら訴えている時に、大門さんはきっぱりと私が重いうつ病にかかって居ると断言してくれました。最初はどういう意味なのかが分からずに動揺しましたが、自分は異常ではない、病気にかかって居るんだという事を繰り返し説明されて、止めどなく溢れていた汚泥(オデイ)が透明な流れに変わって行くようでした。

=そう感じて当然だった!=

この出来事がきっかけになって、私は急に楽になりました。それまでに出て来た「本当は何を感じ考えていたのか」という事が、「それで良かったんだ」「そう感じて当然だったんだ」という思いと共に、あらためて実感できるようになりました。同時に、私の中にあった自己否定がうつ病の原因であることが見えてきました。それにつれて、だんだんと恐る恐る自分を肯定していいんだと思えるようになりました。それにしても、自分のことも他人のことも信じられない状態だった私は、カウンセリングの中で一度でも嘘や建前や机上の空論で話をされていたら、どんなに良い話でも信用できなかったと思うのです。激しい、嵐のような一年でした。

=焦らずに出来る事から=

現在の私は、残り僅かな単位を取得して大学を卒業したいと思い、来年からの再入学を目標に、インターネット・プロバイダのユーザーサポートの仕事をしながら学費を貯めているところです。そろそろ貯金のメドも経ってきましたので、第一目標のクリアは近いかもしれません。

大学に戻ることが出来たら、今の仕事は辞めるつもりです。

将来どんな仕事に就きたいのか等は、まだ決まっていません。私にとって必要であれば、やりたいことはいつか見つかると今は信じています。もし、延々と見つからずに悩み続けるのだとしても、悩み考えること自体が私にとって必要なことなのだと思えるようになりました。焦らずに、できることからやっていこうと思います。

以上

 

コメント

  1. ありがとう。私は手記を読ませていただいて感じるものがありました。
    私も少し元気をもらいました。私自身も自分の感情や思ってる事と格闘し、解決しない結果を出して納得させてます。
    辛いですが、今、耐えている振りしてます。

    1. kagayake 投稿作成者

      3月に頂いたお便り、返信が遅くなりまして申し訳ありません。
      お立場が分かりませんが、
      >解決しない結果を出して
      >耐えている振りしてます
      思いが深まっていくと良いですね。

へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

*