「不登校にかすりもしないで成人した親は、我が子が不登校になりやすい!?」

=性格タイプ「自己主張する仕切りたがり屋」=

まず滅多なことでは不登校にならない性格タイプというのがあって、その代表が「自己主張する仕切りたがり屋」ということになります。自身は不登校になる事もなく元気に育ち、結婚して子供をもうけると、意外にも!そして皮肉にも、その子どもが不登校になりやすい?!ということなのです。

=性格が悪い訳ではない!=

最初に断っておきたいのですが、このタイプの親は「性格が悪い」とか「愛情が薄い」とか言うつもりは全くないのです。むしろ逆で、強く、決断力があり、情に篤(アツ)く、面倒見が良い人なのです。

=親子で性格は遺伝しない?!=

もし性格が親から子に遺伝するものなら、不登校とご縁がなかった親の子は、やはり不登校にはなりにくいと言えるでしょう。蛙(カエル)の子は蛙、親が蛙の顔に小便なら、子も蛙の顔に小便、不登校なんぞ何するものぞ!という訳です。失礼いたしました!(笑)。ところが、現実にはそうはいかないようで、我が子が不登校になり、思いもかけなかった事態に直面して、親としてもっとも動転してしまうのがこの性格タイプのようです。

=人間関係で悩むことは少ない?=

このタイプは、ホーナイの性格類型では「自己主張型」に属します。

基本的に自分から主張していくことで人との関係が成り立っていきますので、相手が自分のいう事を聞かない、逆らって来るという事でもない限り、人間関係で悩むことは少ないと言えます。このタイプは、子供時代、何でもはっきりと自分の意見を言うので「分かり易くて育てやすい」という親がいる一方で、逆に「自分の主張を曲げず頑固で育てにくい」という親も多いようです。

=ライバル(競争者)から挑戦を受けることを楽しむ=

このタイプはパワフルでその場を仕切りたがります。自分に自信があり、それに見合うだけの決断力もありますから、集団を引っ張ることを苦にしないのです。むしろ限界にチャレンジし力を発揮することが好きですし、また、ライバル(競争者)から挑戦を受けることも好きで、それを楽しむことさえ出来るのです。

=挑む勇気、闘う意志を求める=

このタイプは、カリスマ性があり、他の人をその気にさせるのが得意です。リーダーとしてみんなを引っ張り、特に、挑戦者として王者に挑みます。王者になる事を目指しますが、むしろ挑戦者として王者と闘い、死力を尽くして王者を引きずり下ろすそのプロセスに喜びを感じます。そして、部下にも仲間にも、そういう挑戦者として挑む勇気や闘う意志を求めます。このように集団の中で、自分の意志の力や活力を生かしている時に、このタイプは最も生き生きとしています。

=意外にも、女性に少なくない!=

このタイプは政治家かもしれませんし、中小企業の社長かもしれません。また大工かもしれませんし、教師やお役人かもしれません。このように書くと、この性格タイプは男性ばかりかと思われるかもしれませんが、実は、家庭の主婦にも少なくありません。むしろ、自分の本来の性格タイプを隠しながら女性として生きてきたのに、母親となった時にそういう性格的な強さが発揮されるという場合が多いのかもしれません。

=母親の場合、複雑で分かりにくい印象を与える?=

家庭内で大きな力をふるい、子育ての中で、いつの間にか家庭を支配しているのです。独身時代には職場で活躍していた女性が結婚と出産を機に退職し、特に同性からあの人が良く家庭に収まったものだと言われるようなキャリアウーマン志向の人にも、この性格タイプは多いようです。また逆に、企業社会で敵を作らないように自らの「本性(ほんしょう)」を隠して「雌伏(シフク)の時代」を過ごすこのタイプの女性は、日本の企業社会では少なくないようです。本性を抑えてやって来た分、複雑で分かりにくい印象を与えるかもしれません。

=知らず知らず子どもに対して支配的になる!=

本性を隠すことも含めて、このタイプの「強さ」を強調してきましたが、実はこのタイプは「姉御肌」で面倒見が良く、情にもろいというところもあります。自分が面倒を見て上げなければいけない人々が傷付けられないように守ろうとします。特に家族については庇護(ヒゴ)して上げなければいけないという強い気持ちを持っているため、「あなたを守るためには従ってもらわなくてはいけない」と固く信じています。だからこそ、このタイプは勤勉で家庭の主婦としてほとんど完璧に家庭をコントロールしています。完璧であればあるほど子どもに対して知らず知らず支配的になります。

=時として人は去っていく=

ところが、このタイプには、その支配する力ゆえに「人との気持ちの繋がりを失いやすい」という犠牲が付きまといます。身の回りの人は、このタイプの独立心の強さや頑固さ、強引さに辟易(ヘキエキ)して、このタイプの影響力から逃れようとすることが少なくありません。今まで味方だった周りの人は時として急に不満を募らせ、このタイプから去っていくのです。

=拒否されたと感じ深く傷つく=

このタイプは、人が去っていくたびに困惑します。周囲の他人ならそれほどでなくとも、夫や特に子どもが自分から離反すると、このタイプは動揺します。「この子は私に何の不満があるのだろう。私が苦労して養っているのに、なぜ私から離れていくのだろう」。夫や子供が自分に背くようなことが起こると、このタイプは自分がちゃんと理解されていないと感じます。タフな外見の裏で、自分が拒否されたと感じるのです。そして往々にして深く傷つきます。

=爆発する怒り!=

ところがこのタイプは、傷ついたこの感情を表に出すことは滅多にありません。まずは自分がそのように傷ついたことを自分に対して認めようとはしません。自分に対してそれを認めようとしないのですから、それを他人に対して認めたり、まして告白したりするなど思いもよりません。この傷ついた感情は往々にして何か関係のない些細なことに対して爆発します。

=思わず子どもの首を絞める!?=

さあ、この性格タイプの母親の子どもが不登校になったと考えてみましょう。動揺が激しく、不登校の原因に目を向ける余裕もないままに、子どもを激しく叱責するかもしれません。やみくもに登校を強要するかもしれません。時には、思わず子どもの首を絞めているということも?!

=湧き上がる恐怖心=

ともかくも「学校に行きたくない」とか「学校に行けない」などという事は自分には一切経験がないのですから、子どもの気持ちが想像もつかないのです。同時に、それまで家庭は自分の支配の下、平和で安定していて秩序だって居たのに、その自分の王国が崩れ去るような恐怖心が湧き上がると言ってもよいでしょう。

=思い通りに行かない事もあるという事実が受け入れがたい=

「学校に行きたくないにせよ、行けないにせよ、これは異常な事態だ、病気に違いない」と次から次へと小児科を訪ね歩いたりします。医師との話で「心理的な問題」をほのめかされたりすると、「それは病気か、病気なら薬を出せ」などと癇癪を起します。また、「学校でのいじめ」を示唆されたりすると、校長室に怒鳴り込んだりするかもしれません。ともかくもこのタイプは、「自分がコントロールできない事態」に苦しみます。すべてが自分の思い通りに行くわけではない、当然に思い通りに行かない事もあるという事実を受け入れることが、このタイプにはことのほか辛いのです。

=不登校の原因は?=

このタイプのお母さんの子どもが不登校になったからと言って、原因が決まっているわけではありません。不登校の原因はいつも多元的です。ですから、何をおいても不登校マップで検討してみる必要があります。A群からF群まであり、これらのすべての群に、原因の可能性があります。やはり、しっかりとチェックしなければなりません。

=親の「過干渉」の可能性=

しかし、もしC群の心理的な不登校が原因だとしたら、まず「自己主張する仕切りたがり屋」の親は自分の「過干渉」を疑ってみるべきでしょう。ここで注意が必要です。「過保護」は良く聞く言葉で、実際、不登校の原因が「親の過保護や過干渉」という事は少なくないのですが、「過保護」と「過干渉」は明白に違います。一緒にして考えると間違いの元です。

=「過保護」とは?=

「過保護」と言うのは、不必要で過多な保護や甘やかしを親が子どもに対して行う事で、子ども自身の自主性を尊重し過ぎ、まともな社会人として巣立つのに必要な躾けをせずに済ませてしまうので、子どもは「自己中心的で苦労知らず」と言われたり、逆に「親抜きでは自分の意見を言えない幼児性が残る」と批判されたりします。これは親が出しゃばって子どもの責任を肩代わりしてしまったり、親が先回りして子どもの必要を過剰に満たそうとしたりするところから来ています。

=「過干渉」とは?=

これに対して「過干渉」と言うのは、「親が子どもを一人の主体的な人間として扱うことなく、その子供の自我の発達や自主性、意思や思考などを無視して、操り人形のごとく親の意のままに支配しようとすること」であると言えます。もちろん、親にそんなつもりはないのですが!ここが怖いところなのです。

=親に支配されて子どもの自我が十分に養われない!=

しかし、親が子どもを支配する構図が長く続き、子どもは批判されたり、押さえつけられたりし続けるため、自我が充分に養われないという事になりがちです。

=極端に低い自己肯定感=

自我が弱いと独力で行動しようとすることが出来ませんから、それがために子どもの自己肯定感は極端に低くなります。日常生活の中で他の子たちが当然に持っている遊びや趣味を楽しむことにさえ無意識に罪悪感を覚えるので、そういうものに興味を持つことすら諦めてしまう事が少なくありません。

=過干渉の親の子は説明できない=

その諦めの前提に愛情飢餓感があるのですが、「自分は愛されていない」と認識できるまでの自意識は思春期に達するまで育たないのです。こうして、子どもは「命の泉」をだんだんと涸らしてしまい、元気を失い、不登校を引き起こすという事になります。とうぜん、自分がなぜ学校に行けないのか、それを説明する事も出来ません。

=不登校は様々な外見を持つ=

不登校の原因が親の過干渉にあるとしても、なかなかそれが見えて来ません。たとえば、こう言う自我の弱い子はいじめの標的になりやすいですから、いじめの兆候が少しでもあれば、親は「いじめが原因だ」と断じやすいです。また、こういう子どもは体調を崩しやすく、事実、自律神経系の不調を起こして「起立性調節障害」や「過敏性腸症候群」などを発症しやすくなります。そうすると親は、「半分病気の不登校」(B群)と解釈して様々な食事療法や民間療法に頼り、けっして自らの過干渉を顧みることがありません。

=子どもの性格タイプとの相性は?=

輝け元気!では「不登校になりやすい子どもの性格タイプ」として、遊離型の三つの性格タイプを挙げています。

「人がうっとうしい思考回路型」

「心の世界で遊ぶ平和主義者」

「自分らしさにこだわる個性の人」

この三つの性格タイプは、親のタイプに関わらず、もともと不登校になりやすいと言えます。

=強すぎるので、どのタイプとも相性が悪い!=

「自己主張する仕切りたがり屋」のお母さんは、正直のところ、上の3タイプに限らず、どのタイプとも相性が良いとは言えません。お母さんが強すぎて子どもはとても太刀打ちできないのです。

=性格に善し悪しや優劣は無い!=

このように「自己主張する仕切りたがり屋」の親は子どもに対して確かに過干渉になりやすいですが、このタイプのすべての親が「過干渉」になる訳ではありません。この性格タイプが子どもの養育に不向きだという訳でもありません。問題は人間として、親として、どれだけ成長し、人格を磨いたかという事なのです。この意味で性格に善し悪しはもちろん、優劣もありません。

=自覚できない恐怖心=

このタイプは「人からコントロールされ支配されるかもしれない」という怖れを常に抱いていますので、支配される前に「この場をコントロールしないといけない」と思い込んでいるのです。この恐怖心はこのタイプの人の心の奥底に深く沁み込んでいますので、自分では全く気が付かない程です。逆に、この恐怖心を自覚しないからこそ、常に強く主張しなければいけないと感じているのです。

=大切な気付き=

しかし、この性格タイプは、成長すると、「自分が常に場を仕切らなければいけない訳ではない」と悟ることが出来ます。自分が支配していなくても、攻撃されるわけではないことに気が付くのです。まさしく、この事に気づくために我が子の不登校はやって来たと言えるほどです。逆説的ですが、そのことによって本能的に抱えている周囲への警戒心を解くことが出来るようになります。

=人を癒す本来の力が溢れだす=

こうなると、子どもの弱さを受け入れ、併せて、自分の弱さを認めることも出来るようになりますから、このタイプが本来持っている「癒しの力」が溢れだします。こうして、この性格タイプは「人に傷つけられ人に支配されるのではないか」と言う恐れを克服するのです。

 

このタイプはここに至ると、自らを開き、温かく、勇気を持ち、人を赦(ユル)し、英雄的です。

以上

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

*