「なぜ?と言う問いかけが、やはり大切です」不登校マップ

不登校となったらやっぱり「なぜ?」という問いかけが重要です。

なぜ「命の泉」が涸れてしまったのか。気持ちの問題であれば親の対応だけで治る場合もあるけれど、病気だったら当然、病院にかかる必要があるからです。

この辺りを無視して放っておけば治ると言うのも、何かをホニャララすれば治ると信じるのも、とても危ないのです。

まず知っておかなければいけないのは、不登校にも様々あって、それを眺めようとすると左から右まで180度、首を回転させる必要があります。

いちばん左はやはり「病気による不登校」です。100人に一人くらいは発症するのが「統合失調症」です。芥川龍之介が晩年かかったのが「妄想型」、ある動作の途中で不自然に体が止まってしまったりするのが「緊張型」、そして、不登校で一番多いのが「破瓜型」と言われる統合失調症です。破瓜型というのは奇妙なネーミングですが、意味は「思春期型」というくらいのものです。一学年3クラスで100名ちょっとの中学校や高校では、ひとりくらい発症しておかしくない病気です。決して珍しい病気ではありません。

そして、やはり左側の「病気による不登校」に入るのが、「子どものうつ病」です。小児うつ病、思春期うつ病と大別されますが、実は私(大門隆)も高校2年から3年にかけてかかりました。大学で精神病理学の授業を受けていて、教科書にまるで自分の高校時代が書かれているのを見て驚きました。ああ、あの時自分は「思春期うつ病」だったのだと後付けで理解したのでした(笑)

それから左に近いところ、つまり「病気による不登校」のすぐ右側に位置しているものに「起立性調節障害」や「過敏性腸症候群」などがあります。この二つは、一応「病気」とされていますが、良く効く薬というのがありません。「めだかのがっこう」で教えているプログラムを親から子どもへ実践して頂くとかなり良くなる場合が多いので、どちらも心理的な原因があって発症すると私は考えています。ですから、輝け元気!では「病気」ではなく「心理的な不登校」の中に入れて対応するようにしています。

真ん中を飛ばして一気に右の方を眺めてみますと、「発達障害による不登校」があります。代表的なのはアスペルガー症候群と呼ばれる子供たちで、若干ですが自分のいる世界が健常児と異なります。世界が異なるというと大げさですが、この子達は、ものへの感じ方や考え方が言葉通り、あるいは字義通りに解釈して、その裏にある隠れた意味を理解しにくいのです。つまり、相手の言っている「皮肉」とか「冗談」とか「いやみ」とかを文字通り受け止めてしまうために、その場にふさわしくない言動をとってしまうことが少なくありません。知能は概して高いので「高機能広汎性発達障害」と呼ばれたりします。このほか「学習障害」や「トゥレット症候群」など、特有の「弱点」や「こだわり」がある子ども達で、イジメのターゲットにされてしまうことが少なくありません。また、善悪の判断がない反社会性パーソナリティ障害などもこの中でいちばん右に位置する障害だと言えます。

そして、「病気による不登校」と「発達障害による不登校」の間に挟まれているのが、いわゆる「心理的な不登校」です。ストレス障害、愛情飢餓感、イジメ、精神的な打撃(ショック)、過保護/過干渉、等々です。上でも書きましたように、「起立性調節障害」と「過敏性腸症候群」は、当会ではこの「心理的な不登校」に入れています。

その代わりと言っては何ですが、「心理的な不登校」の中で親の子どもへの「極端な過保護/過干渉」は、特別扱いです。と言うのも、子どもへのカウンセリングがそれ単独では効き目がないからです。親のカウンセリングを同時並行で進めていかないとうまく行きません。いえ、同時に進めていってもうまく行かない場合の方が多いかも知れません。子どもがカウンセリングを拒否するからです。ある意味で、病気や障害による不登校よりもずっと難しい不登校だと言えます。

「親の子どもへの極端なの過保護/過干渉」は大別して二通りに別れます。一つは、「親が子どもを完全に支配し子どもは親の支配に依存しているため自立できない場合」です。親が何でも先回りしてやってしまうため子どもは自分のことを自分でやるという判断力と自立心を失ってしまいます。学校など対人関係能力が必要な場では些細なことでつまずき、簡単に不登校になります。ある意味で子が親の奴隷であるかのようです。

もう一つは、親が子どもに支配されて要求を何でも聞いてしまうため、これも「自立心」を育てることが出来なくなる場合です。例えば、小学校3年生になるのに、親がスプーンで食事を口に運んで食べさせないと「辛すぎて何も食べられない」と訴える、お風呂に入っても「辛すぎて自分では体を洗えない」と訴えるなどが典型的な状況です。親がせっかくカウンセリングに来ても「帰って来て」と子どもから電話があると、もう居ても立ってもいられなくなり、カウンセリングどころではありません。家庭では100%ワガママが通用するので、子どもは学校へ行って皆と同じように過ごすことが「辛すぎて出来ない」という事になります。ある意味で親が子の奴隷であるかのように見えます。

どちらの過保護/過干渉も親御さんが心理的な問題を抱えている場合が少なくありません。

そして、「心理的な不登校」の中で、「親がAC(アダルトチルドレン)であるために子どもが不登校になる」場合というのがあります。アダルトチルドレンについてはホームページの

http://www.kagayake.org/ac.html

をご覧頂きたいのですが、「親が子ども時代に愛情を受けた経験が無いために子どもへどのように愛情を注いだら良いのか分からない」のです。親は「子どもを愛せない」という罪悪感に苦しみながら懸命に努力しますが、それがすべて的外れなために子どもが親の愛を感じることはありません。そのために「子どもは愛されようと懸命に努力しますが報われず、疲れ果てて不登校になる」という場合です。これを、親の子どもへの「優しい虐待」と呼びます。「優しい虐待」は親から子へ何世代も受け継がれて行くように見えます。子どもではなく親御さんがカウンセリングを受ける必要があります。

ざっと見渡しただけで、これだけの不登校があります。

 

ここでもう一度整理してみましょう。

A.「病気による不登校」です。この中には「統合失調症」「子どものうつ病」など病院で治療を受ける必要がある不登校が含まれます。

B.「心理的な原因で起こる病気による不登校」です。この中には「起立性調節障害」や「過敏性腸症候群」など「身体表現性障害」と言われる薬が効かない、あるいは薬がない病気が含まれます。

C.「心理的な不登校」です。この中には「ストレス障害」、「愛情飢餓感」、「精神的な打撃(ショック)」、学校での「イジメ」などが含まれます。

D.「極端な過保護/過干渉による不登校」です。この中には「子どもが親の奴隷」の場合も、「親が子どもの奴隷」の場合も含まれます。

E.「親がAC(アダルトチルドレン)で子育てが優しい虐待になってしまう場合の不登校」です。Cの「ストレス障害」と「愛情飢餓感」に一部が重なります。

F.「発達障害による不登校」です。この中には、アスペルガー症候群など「高機能広汎性発達障害」と言われるもの、「トゥレット症候群」と言われるもの、また、「反社会性パーソナリティ障害」や一部の「境界性パーソナリティ障害」が含まれます。

 

AからFまで六つの分類をしました。この六つの分類の中でお子さんの不登校がどれに該当するのかお考え下さい。とは言っても、なかなか分からないのが普通です。輝け元気!では、「まず我が子の不登校がどの分類に属するのか」、その相談を受け付けています。初回相談は無料ですので、ぜひ、ご利用下さい。

付け加えますと、この六つの分類の中で親御さんの「めだかのがっこう」が有効なのが、BとCです。「めだかのがっこう」つまり親から子への働きかけだけでBとCによる不登校の6割以上は、学校復帰が可能です。

そして、「子どもさん本人のカウンセリング」と、「親御さんのカウンセリング」が同時に必要なのが、Dの場合です。

また、「親御さんのカウンセリング」が有効なのが、Eの場合です。

最後に、AとF、そして「めだかのがっこう」で効果が無かった子どもさんに有効なのが、「子どもさん本人のカウンセリング」です。

 

 

不登校の相談機関で相談しながら進めてきたのに子どもが学校復帰出来ないと言う場合、もう一度、「「なぜ?」と問いかけて下さい。たいがい、この部分で我が子の不登校を見誤っているのです。正しい診断を受けてこそ正しい対処が可能になるのです。正しい対処が出来ればほとんどの不登校が克服可能です。不登校を克服してこそ子どもは輝くことが出来ます。

頑張って参りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • カテゴリー: 不登校 |
  • 投稿日: 2014年11月6日 |

コメント

  1. ピンバック: 輝け元気!ブログ » Blog Archive » 子育てがしんどいママと不登校

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

*