あのK君の学校復帰
大門隆様、
メダカの講座が終了した12月から年末年始、そして春の学校復帰にかけて、「経過と振り返り」をお送りします。
お片付けモード
12月のある日息子がシューズクローゼット(靴箱)の整理をしない?と言い出しました。
「ときめかないものは全部処分!」を合い言葉にすすめ、最終的に息子が棚板も拭き上げ、かなりすっきりしました。
もともと自分の部屋の整理整頓は出来ていましたが、そこから片付けモードに火がつき、洋服やいらない本も家族が各自で整理。息子の「頑張れ!」の言葉に私も引っ越し以来、まったくといっていいほど手をつけていなかった納戸に取りかかりました。
あれこれ懐かしいものと一緒に整理していない大量の写真が。「この頃、可愛かったなあ、どこ行っちゃったんだよ」と息子、自分で赤ちゃんのころからの写真を選別。
そんななかでふと思ったこと。「息子の子育て、もっと出来たことがあったんじゃないかな」ってどこかで自分を責めていたんですが、写真の息子は幼稚園で先生方に、たくさん、たくさん、愛情を受けて、笑顔が溢れていました。
「あー、私、1人で子育てしてたんじゃなかったんだ、こんな素敵な時間を過ごしたんだから、息子はきっと大丈夫、今も守られて・・・・・・・・」、そんな風に思えました。
迎えた大晦日
なかなか行けず気になっていた母のお墓参り、やっと行こうと思っていたら、息子が、6時過ぎに、すっきり目が覚めたと起きてきて、びっくり。「お腹が痛い・・・・・・・・、でも留守番もなあ」としばらく考え込む息子。
そして、「やっぱ行くわ」、となって一緒に行くことが出来ました!
お通夜の日から一年半、とっても嬉しかったです。
お正月
入らなくなった中学の制服を作り直したいと、本人の意志でデパートに行きました。
仕立て直した制服が届いても学校に足が向くことはありませんでしたが、私たちも黙って見守ることにしました。
爆発
2月の初旬、息子が爆発しました。きっかけは夕飯を食べ始めた直後、父親が息子に対して、「うるさいっ!」と大きな声を出したこと。息子には理不尽だったようで、箸を握ったまま、下を向いて、涙をためて堪(コラ)えているのがわかりました。
父親が息子に腹を立てた理由は、とても些細なこと。
その日仕事で留守にしていた私に、息子が「早くご飯食べなよ」、と。
私、「寒かったからちょっと休みたい」。
息子、「大丈夫?どれでも好きなの食べて!」。
さらに息子、「いやいや、今、食べないと、そういうの良くないよ」と。
半分ふざけながら押し問答になってしまって、それが父親の苛立ちに繋がったようでした。あとから聞いてみれば、その日一日、息子と父親は小さな衝突が何回かあったそうです。
私が主人に、「そんなに強く言わなくても・・・・・・・・」と言い終わらないうちに、息子は、「もういいからっ」と箸を叩きつけ、 憤然と自分の部屋に。
そこからです。
椅子を蹴倒し、本棚からCD、DVD、泣き叫びながらすべてを放り投げ。はじめてのことに「このままじゃ、硝子も割れて大変なことになる」と焦りました。
父親が行けば、さらにヒートアップするのは確実。父親は気が済むまで放っておくつもりのようでしたが、私は無視も出来ず、部屋に行くと、「出ていけ!」から始まり、「こんな家族~、~、~、」ありとあらゆる暴言が出てきました。
息子は、私と主人がメダカのコーチング講座に通っていることも気がついていたようで、「仕事とか俺を騙して行きやがって!」と、それも大きな不信感だったようです。「世の中いじめで自殺する人もいるけど、家族にこんな思いさせられて、死にたくなる気持ち、わかるか!」と叫びました。こう言われたときは、胸が苦しくなりました。
もうこれは、息子の思いをすべて吐き出させるしかないと、暖房のないなか、私も息子の部屋に座り込み、覚悟を決め、聞き役に徹しました。
「人の気持ちが見えすぎて苦しい」
「相手に合わせているうちに、ほんとの自分、どこかで無くして来ちゃった」
ドキッとするようなことを、たくさん吐き出しました。
息子は多分、一時間半ぐらい、しゃべり続け、最終的には、ぐちゃぐちゃになった部屋を、自分で片付けはじめました。
「これでも一番大切なものは投げなかった」と、少し笑いながら割れたCDケースの
破片を集めているのを見たら、私も思わず泣きそうになりましたが、ぐっと堪(コラ)えました。
立ち直りが早くなったのか、爆発が激しかったので逆にすっきりしたのか、その後、「やっぱりご飯食べようかな」と言ったので、遅い時間に一緒に食べました。
その日から間もなくして、少しずつ机に向かい始めました。中1の英単語と漢字をすすめているようです。
学校復帰
その日からの息子は、さらに自分で生活の工夫を始めました。
入眠に関する情報から、10時ごろだった入浴を食事の前に変更、夕食は炭水化物を控えめにして、その分野菜多めに。ゲームは寝る直前まではしないなどなど。自立神経に良いと言われている夜ヨーグルトもかかさず続け、そして、あの日の突然の登校につながりました。自分なりに、けじめを付けたのだと思います。
息子が先生に会いに行った6月の休校日以来なので、登校途中で帰ってしまうのではと心配した担任の先生、こっそりバス停まで覗きに行ってくれていたそうです。
「どんな顔をして降りてくるんだろう、溜め息ついてないか、見させていただきました。そしたら、なんのためらいもなく、堂々と門も、昇降口も通過!」、安心した先生は別ルートから職員室にダッシュ、「おー、よく来た!」と出迎えてくれたとのこと。そして聞いてみたそうです、「どうして今日来てくれたの?」とストレートに。
息子、「いいかげんまずい、学校に行かなくちゃ、と思ったから」とはっきり答えたそうで、その様子に、
「しっかり成長しているじゃないですか、2年分の勉強が抜けている、ただそれだけのこと。
心と身体が一致しないときもあるだろうけど、彼は大丈夫です!」と言って頂きました。
前回のメールでもご報告しましたが、遅刻をしても行けたこと、そして教室にあがれたことの意味が、息子にとって、とても大きかったと思います。
昨日から開いた、数学と英語の宿題には、欄外に『授業を受けていないので全くわからないので、答え丸写ししました』と書いて、悪びれずに提出していました。
変化した母親としての気持ち
今年に入って私の気持ちが大きく変わりました。
私、幸せだったことに気がついたんです。主人や私の子育てで、息子が不幸せになればいいなんて思ってしてきたことは、もちろんひとつもないわけです。私たち親は、多少、不器用だったかもしれないけど、息子は自分のことは自分で幸せに出来る、その種をもって産まれて来ている!と実感している自分に気が付きました。
ないもの数えたら、苦しくなるけど、「家族がある」、「住む家がある」、「ご飯が食べられる」、「趣味の時間がある」、「仲間がいる」、「仕事がある」って数えたら、わたし、たくさん持っている!その事に気が付きました。落ち込んだら、また上がってくればいいんだもの!幸せとは何か?は、私が決めて良いしね!と突然、思うようになりました。
我が家の体験、いま苦しいご家族のお役にたつことがあれば、とても嬉しいです。
そして、なにより、この日を迎えられたのは、大門さんのおかげです。
主人の苦しい気持ちに寄り添って頂いて、ありがとうございました。
大門さんがいてくださる安心感が、私たち夫婦の支えです、
今後とも、よろしくお願いいたします。
※このお便りは、去年の9月29日付ブログhttp://kagayake.org/blog/?p=160 「起立性調節障害のはずが……実は、心理的な問題が・・・・・K君の例」のK君のお母様からのご報告です。
- カテゴリー: 嬉しいお便り |
- 投稿日: 2016年05月8日 |