機能不全家庭・・・・・・アダルトチルドレン(AC)のゆりかご
今日は「機能不全家庭」について書きます。
機能不全家庭→優しい虐待→アダルトチルドレン(AC)
この言葉、聞いたことがありますか?アダルトチルドレン(AC)と言う言葉のほうが普及しているかもしれません。要は、アダルトチルドレン(AC)を生み出すような家庭を「機能不全家庭」と呼びます。いま、日本の現代社会では、自分はアダルトチルドレン(AC)ではないか?つまり、自分は「機能不全家庭」で育ったのではないか?という疑問を持つ人や、逆に、いま子育てをしている自分の家庭は「機能不全家庭」ではないか?と恐れる親も少なくないように思います。
こういう疑問や恐れを持つこと自体、私はとても良いことだと思っています。と言うのは、もし自分がアダルトチルドレン(AC)ならば、いま自分がしている子育てはひょっとして「優しい虐待」なのではないかと気が付けるかもしれません。また、ひょっとして自分の家庭が「機能不全家庭」なら、子どもがアダルトチルドレン(AC)になってしまうかもしれないとその危険性に気が付けるかもしれないからです。
分かりにくい「自分の事」
というのも、自分がアダルトチルドレン(AC)なのか、そうではないのかという事も、自分の家庭が「機能不全家庭」なのか、そうではないのかということも、そう簡単にわかることではないからです。なぜなら、誰しも自分が育ってきた家庭が標準的な家庭だとどこかで思っていますし、そう思うからこそ、それと同じような標準的な家庭を作ろうとするのが自然だからです。
また、ふとしたことで他の家庭や親子関係を見た時にも、「ああ、どこの家もおんなじね。うちと同じことをやっている」と感じたことは誰しもあるのではないかと思います。しかし、本当に同じようなことをやっているのか、実は「優しい虐待」をしているのかは、外見的なことでは分かりません。親は愛情がなく形だけ普通に取り繕っているだけかもしれませんし、子どもはそういう形を受け入れつつ、実は本当の愛情に飢えているかもしれません。そして、親は、自分の愛情のなさに気が付かず、子は自分の愛情飢餓感に気が付かないという事も少なくないように思います。
機能不全家庭とは何か?
「機能不全家庭」とは、「親の子育て」、「家族のだんらん」、「隣近所や学校、そして地域との関わり」と言うような、普通の家庭に普通に存在しているはずのごく普通の機能が、健全に機能していない家庭を指しています。そして、この「機能不全家庭」で問題なのは、家庭内で日々起こっている不健全な出来事そのものよりも、その家庭の中で育っていく子どもへの悪影響なのです。
先ほども書きましたが、機能不全家庭で育った子供は、その機能不全な家庭環境や家庭の考え方(価値観)が当たり前であるかの様に思って成長するケースが多いからです。また、幼少期の重要な人格形成の時期に、本当の愛情をもらえる機会が非常に少ないことなどによって、健全な自己愛や自尊心、他の人への共感、他の人の苦しみに対する理解など、人間的な資質に欠けた人間になりやすいからです。
こうして、機能不全家庭の中から「社会と健全な関係を築くことができない大人が輩出されてしまう」という結果が生じることになります。しかし、機能不全家庭に生まれ育った者が全て必ず社会不適応な人間になるとは限らないことも知っておきたいと思います。この点については、ハワイのマウイ島で重度の機能不全家庭で育った子どもを30年以上にわたり追跡調査した有名な研究があります。どういう条件に恵まれた子がアダルトチルドレン(AC)にならなくて済んだか別の機会にご紹介したいと思います。
「機能不全家庭になる要因」
さて、なぜ機能不全家庭になるのか、その要因として次のようなものが挙げられます。
- 親の依存症:アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、ゲーム依存症
- 親のライフイベント:親の自殺、親の死亡、親の浮気、両親の離婚、親の再婚
- 親から子への虐待:子が親から見捨てられる事(ネグレクト)、精神的な虐待、肉体的な虐待、性的な虐待、両親の不和、家庭内の暴力(ドメスティック バイオレンス)、共依存
- 家庭の貧困:サラ金地獄、生活困窮、生活苦を伴う家族の病気(難病、介護)、
- その他:望まれない出生、不遇な里子体験、親がカルト宗教にのめり込む
このような機能不全家庭となっている場合は、その家庭を構成する親、または祖父母などが、機能不全家庭で育った経歴がある可能性も高いです。
「確かめたい生い立ちと現在」
一つ一つ、自分の育った家庭に該当するかしないか、確かめてみてください。あるいは、いま、ご自分が親として子育てをしている家庭にこのようなこと(上記)はないでしょうか。
例えば、③の「両親の不和」などはどうでしょうか。夫婦喧嘩は犬も食わないなどと言われますが、子どもへの悪影響としては非常に大きな要因になり得ます。犬は食わなくても、子どもはたらふく食べているかもしれません。
また、「躾(しつけ)」として為される暴力は軽く見られがちですが、子殺しの当事者(親)が良く言うのが「ただの躾けだ」という言葉です。
それから「共依存」も自覚が持ちにくい「虐待」です。子が親の奴隷になる場合も、親が子の奴隷になる場合も、立派な虐待です。
次回は、機能不全家庭で子どもはどのような「役割」を演じようとするのでしょうか?この問題に、焦点を当てます。より具体的にご自分の子供時代を、あるいはお子さんの様子を見定めることが出来るかもしれません。お楽しみに!
なお、このブログには、「アダルトチルドレンとは」という記事もありますので、ホームページと共に参考にしてください。
http://kagayake.org/blog/?p=73